生涯で300万円も支払う買物。
それにしても高すぎないか?

 大勢の人が「がん保険」に加入している事実から認められるのは、保険会社の商品企画力、販売力といったものでしょう。繰り返しになりますが「がん保険」がお客様にとって「いい買い物」であることは何も証明していないはずです。

 私は保険代理店に在籍している「保険の売り手」でもありますが、大量の広告により喚起されたお客様の「不安」に焦点を合わせ、「コスト」と「パフォーマンス」の両方が不透明な「商品」を黙々と販売したいとは思いません。どこまでも顧客本位でありたい、というわけではなく、保険会社に操られているような気がするのが嫌なのです。

 改めて保険料の払込総額に着目すると、いまどきの「がん保険」はなかなか大きな買い物です。老後までの保険料負担総額は300万円くらいになることもあります。

 それなりに普及している商品では、価格競争が進むものですが、抗がん剤や放射線などを用いた特定の治療に対応した「特約」など、付加価値競争ばかりが盛んで、商品の単価が下がらないことも影響していると思います。

 もちろん、数万円の保険料を払いこむ間に「がん」に罹り、100万円単位の「診断給付金」を受け取るお客様もいらっしゃるでしょう。その場合は、保険の有難さを実感できると思われます。とはいえ、「2人に1人ががんに罹る」は、「2人に1人はがんに罹らない」と言いかえることもできます。まして「がん保険」に加入できる人は、保険会社による診査をパスしています。

 女性の場合など、がんに罹る人は「2人に1人」ではなく「5人に2人」ですから、60%を超える確率で、300万円超のリスク管理のための先行投資はゼロになると思われます。積極的になれる人ばかりではないでしょう。

 しかし、現実に、このような側面を持つ商品への加入が推奨されているわけです。それは誰のため、何のためでしょうか。私の中では「ほとんど保険会社のためではないか?」という疑いが晴れません。たとえば、がん保険の価格設定はとても不可解なものです。

 次回は、がん保険と他の商品との比較を通して、価格の検証を試みます。

 

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