【必読ポイント!】
◆成功は準備がすべて
◇すべてを考え尽くして勝負に臨め

 著者のコーチングの師匠は、ボブ・ドワイヤー氏という人物だ。ドワイヤー氏は、試合の運び方に関して、常に明確なビジョンを持っている。それができるのは、試合に向けてあらゆることを想定し、綿密に準備をしているからだ。彼にとって「予想外」はありえない。彼の采配はイメージどおりピタリとはまる。だからこそ、チームを勝利へと導くことができる。

 準備をするときに重要なのは、自分が不快だと感じる環境をつくることである。著者も、本番で想定されるものより、トレーニングをキツく設定している。なぜなら、居心地の悪いなかでも、選手たちに最高のパフォーマンスを発揮できるようになってもらいたいからだ。

 具体的には、本番で敏捷さを最大限発揮できるよう、本番よりもスピードを上げた訓練を実施し、意思決定までのスピードを短縮するトレーニングをおこなっている。120%の準備をすると、本番では余裕が生まれる。すると、相手に対して心理的に優位に立てるようになる。

 準備が大切だということは、何もラグビーだけに当てはまることではない。他のスポーツはもちろん、あらゆるビジネスシーンでもいえることだ。偉い人の前でプレゼンテーションをする際も、本番当日に投げかけられる質問をあらかじめ想定しておき、それに対してきちんと準備しておけば、当日どんな質問が来ても落ちついて答えられるようになるはずである。また、準備は自信を生む。自信があれば、プレゼンテーションの成功確率は飛躍的に高まる。

 成功するには、一にも二にも準備が肝要であることを忘れてはならない。

◇心配ほど無意味なものはない

 物事には、自分で変えられることと、どんなにがんばっても変えられないことがある。自分でコントロールできないことに対して努力しても無駄なことだ。きっぱりあきらめて頭から追い出してしまうべきである。むしろ変えられないことをいつまでも悩むのは、不安や心配などのマイナス思考を引き起こす原因になるだけだ。

 ラグビーの場合、日本人選手の平均身長が他国に比べて低いことは、変えられない事実である。それをどうしようかと考えても意味がないし、大きな選手にぶつかったときのことを考えても恐怖が増すだけだ。

 勝つためにするべきなのは、そうした制約のなかで、どうやったら勝てるのかを考えることだけである。「短所は長所にもなりうる」ということをヒントにしつつ、今ある資源でどう勝つのか、自分でコントロールできることだけをとことん考えることでしか、勝利を引き寄せることはできない。