一般社団法人ペットフード協会が毎年行っている全国犬猫飼育実態調査によると、平成28年10月現在、犬と猫の飼育頭数は犬が988万等、猫が985万等とほぼ同数。犬は減少傾向、猫は横ばいとなっていて逆転も間近なようだ。
逆転の原因は飼いやすさの違いで、生涯費用(犬119万円、猫70万円)、散歩の要不要などが影響しているのだが、マンションなど集合住宅の占める割合が増えていることも一因と考えられる(総務省統計局による平成25年住宅・土地統計調査結果によれば、平成20年から平成25年の住宅増加率は一戸建4.2%、集合住宅6.8%)。
マンションでは犬派の方が肩身がせまい。猫の飼育は基本的に室内で完結するが、犬の場合は散歩が必要で、吠え声も大きく、他の住居者と遭遇する機会も多いからだ。
これを逆手にとって単に「飼育可」というだけではなく、「犬と安心して暮らせる」ことをうたい、グルーミングルーム、ペット同伴専用出入り口、ペット用足洗い場、ドッグランなどを備えるペット共生型マンションも売り出されている。
昔、ペット好きはマンションをあきらめた
今、ペット嫌いはマンションをあきらめるべきか?
国土交通省の実施した平成25年度マンション総合調査によると、ペット全面禁止としているマンションは47.7%、種類サイズなどを限定して認めているのが42.5%、全面的に認めているのが2.9%、規則がないのが5%という結果が出ている。これだけ見れば、ペット派にもアンチペット派にも快適なマンションが見つかりそうだ。
しかし、これをマンションの完成年度で分けてみると平成11年から16年の間で大きな変化が見られる。平成11年度までは60%を超えるマンションがペット全面禁止であったのに対して、それ以降は急激に下がり、平成16年には27.2%、平成22年度以降に建てられたマンションでは、全面禁止はたった2.1%、種類サイズなどを限定して認めているマンションが93.8%となっている。ペットのまったくいないマンションを希望するなら、新築はほとんど選択肢に入らないということになってしまう。