〈ステップ4〉中間目標を取り組む順番に並べる
ステップ3で挙げた中間目標にどんな順番で取り組めばいいかを決めます。それぞれの中間目標には達成できるタイミングもあるでしょうし、ある中間目標を達成しないと別の中間目標を達成できないという順番もあるはずです。それらを勘案して決めていきます。
私「最初に考えた目標と、今挙げてもらった中間目標がこの水色のふせんに書いてあるけど、これって達成する順番があると思うんだ。どうやって順番を考えるかというと、まずは目標のふせんを一番上に貼る。そして、『一流の俳優として生きていくためには、その前に何を達成していなくてはならないだろう?』と考えてみてほしいんだ。どう思う?」
彼「一流の俳優として生きていく前に、演技派俳優として知られるようにならないといけないと思います」
私「そうそう、その調子。じゃあ、演技派俳優として知られるようになる前に達成しなければならないことは?」
彼「名指しで仕事が来る。でも、こなせる役の範囲が広がっているも関係ありそうです」
私「順番がどちらと決められないときは、2つとも選んでも構わないよ。きっとこの2つの中間目標は同時にチャレンジできることなんだね。名指しで仕事が来るという中間目標と、こなせる役の範囲が広がっているという中間目標が達成できたら、演技派俳優として知られるようになるという次の中間目標に挑戦できるんだよね?」
このような会話を経て、中間目標に取り組む順番を並べたアンビシャス・ターゲット・ツリーが図表2になります。下から順にハシゴを登るように進んでいくイメージです。
図表から「チャンスをつかむ」「こなせる役の範囲が広がっている」の2つの中間目標には、その手前の中間目標がないことがわかります。つまり、このつが今取り組むべきことで、他の目標には今はまだ取り組まなくてよいのです。
このように目標達成のステップが明らかになると、「今やるべきこと」「今はやらないこと」がハッキリし、結果としてやるべきことに集中できるのです。
〈ステップ5〉中間目標達成の具体的な行動を決める
ステップ4の中間目標を、それぞれどんな方法で達成していくかを決めていきます。その方法が具体的なほど、大きな目標を達成できる可能性が高まります。
私「じゃあ、オーディションに通らないという障害を乗り越えて、チャンスをつかむという中間目標に向けて、何かできることを考えていこうか?ところで、オーディションというのは、ひんぱんにあるものなの?」
彼「はい。映画やドラマを作るときにオーディションがあることが多いので、毎月、何かしらのオーディションはあります。あとは、所属している劇団の人と相談して、イメージと合いそうなものに応募します」
私「じゃあ、たとえば今月とか来月とか、これに応募するという具体的な作品を思い浮かべて考えてほしいけど、チャンスをつかむにはどうしたらいいかな?」
彼「オーディションがあるときは、作品も監督も主演も決まっています。そうすると、どんな作風が好みとか、そういうこともだいたいわかります。なので、オーディションの過去の合格者や、その監督の過去の作品を研究して、どんな演技が望まれているのかを把握したらいいと思います」
私「なるほどね。一応確認だけど、それはやろうと思ったらできそう?」
彼「はい、できると思います!」
このようにして、他の中間目標に対しても行動を決めていきました。それをステップ3で作った表に反映させたのが図表3です。
行動は実行可能で、具体的でなければなりません。そして、実行すれば中間目標が達成でき、障害が取り除かれるアクションでなければなりません。この2点が行動のチェックポイントになります。
ちなみに彼は、「アンビシャス・ターゲット・ツリー」で行動をまとめたわずか数週間後に、オーディションに初合格。そして『悪の教典』(貴志祐介著)という小説をベースにした映画で俳優デビューを果たしました。
(毎週火曜日・金曜日に公開予定)