川島さんは、個人レベルの問題意識と地域レベルの問題意識が様々に交差することが人間社会の常であると説明した上で、次のように考えることが重要だと訴える。

「そこには、様々なレベルの矛盾が渦巻いている。この矛盾は、両親の持って生まれた矛盾を引き受けざるを得ないことが多い。引きこもる人の多くは、両親の矛盾を一身に受けてしまうこともある。引きこもる人は、社会の矛盾を一身に抱え込んでおり、自分だけではどうにもならないところまで来ている。そのために、その人に寄り添うことが何よりも大切になる」

個人が全体として救われる
「第4極」の必要性とは?

 この個人的な問題レベルに、社会が十分に気付いていない。これらの矛盾をどこから解決したらよいのか誰も何もわかっていないとして、川島さんは「第4極」の必要性を提唱している。

 第4極とは何なのか。川島さんの説明によると、第1極は政府のガヴァナンス(行政は全体としてここに属する)、第2極は政府に対する反対勢力(野党、組合などがここに属する)、そして第3極としては社会福祉協議会など、第1極と第2極を調整する機関が考えられるという。

 従来は、こうしたシステムによって社会が動かされてきた。しかし、それぞれのシステムの中で必ず個人としての問題が残り、多くの場合、置き去りにされてきた。それは様々ないびつな問題を残したままになっている。

 そこで、個人が全体として救われるようなシステムが必要になる。それが第4極としての個人の救済機関であり、その救済が徹底することにより社会の健全な発達が可能になる。その第4極が社会システムとして健全に機能したとき、社会はさらに全体として発展することが可能になると訴えている。

「私としては、同じような人間を二度と出したくない、と思っているんです」
 
 そのためにも「まず、引きこもっている人たちの気持ちを理解することから始めなければならない」として、川島さんは「第4極」をこれから社会に呼びかけようとしている。