時間と距離感を広げる1人乗り自動車の衝撃

 少し話がそれましたが、今このような「パーソナルモビリティー」と呼ばれる小型電動車の開発が世界中で進んでいます。

 佐藤さんも「人々の時間と距離の感覚を変えてみせる」と話しており、実際に人々の生活は大きく変わることでしょう。

 まず、乗り物が人の動きの癖を人工知能(AI)で学習するようになります。次第に自動運転技術も搭載されていくことでしょう。

 すると、人々は運転するというよりも、「機械に連れていってもらえる感覚」で乗り物を操作するようになります。それが移動の距離と時間の感覚を広げるのです。

 これはどういうことでしょうか。東京・青山から赤坂までの地域で考えてみましょう。この2地点は、電車で1、2駅ぐらい離れた場所ですが、青山で働く人がランチのために赤坂に出ることはまずないと思います。お金の問題というより、「少し遠いな」と思うからです。

 ですが、もし1人乗りの「車」があれば、きっと赤坂でのランチも選択肢になる。移動の概念が変わるのです。すると地価にも大きな影響を及ぼすことになります。

 駅から徒歩5分圏内と10分圏内の物件とを比べると、やはり後者は「結構遠いな」という印象があると思います。ですが、もし「車」があれば、徒歩10分なんて「楽勝だ」と思われることでしょう。むしろ「割安ならそちらに住もう」と思う人が増え、賃料や地価の差が縮まっていくのです。

 もうお気付きでしょうが、パーソナルモビリティーは自転車のニーズを代替します。日本では規制の関係で、このような車が自由に公道を走り回ることは難しいのが現状ですが、それも時間の問題です。普及が進めば、駅前の駐輪場の問題だって解消できますし、町の在り方が大きく変わるのです。

 このように人々の移動の概念を変えるテクノロジーが続々と生まれています。次回ご紹介するドローン技術もその一つです。

構成/週刊ダイヤモンド編集部 小島健志