セッションで仲間にも同じ気持ちや何か症状が出ていることを共有する(分かち合う)ことで、安心感を持てる。これらは悲嘆を乗り切るプロセスとなる。

 このとき、セッションに心のケアの専門家(カウンセラーや医師など)が同席すれば、症状について説明ができたり、リスクの高い人を選別したりすることができる。

 それが難しい場合でも、職場の仲間同士だけで集まって、死について語り合うことには意味がある。

 また、セッションでは「外部から電話がかかってきたときは、どう答えるか」「亡くなった人の机はどうするか」「予定していた宴会は延期するか」などを話し合うこともできる。

「ここでは『リーダーが考えて指示をする』『正解を求める』ではなく、みんなで話し合うことそのものが、とても大切な時間となります」と高橋教授は説明する。

話し合いの流れのなかで、「遺族に色紙を書いて渡した」というグループもあったそうだ。

自殺は精神的に病的な状態
周囲が助けられないこともある

 最後に、「どうして、自殺なんかしたんだろう」と頭の中をグルグル回り続ける疑問に対して、参考となる情報を伝えよう。

 海外の文献では、「自殺した人の約96%は何らかの精神疾患の診断に該当する(*2)」と発表している。何らかの精神疾患とは、気分障害(うつ病・そううつ病を含む)・アルコール依存症・統合失調症・パーソナリティ障害等をいう。

 つまり、何の病気でもない人はわずか4%ほどで、自殺前には病的な抑うつ状態が続いていることが多いことを示唆する。

「自殺前にはその準備の時期が続いている。このため、理由を直前の言動で説明することは大きな誤りです」と高橋教授は言う。

 前の日に上司から指導を受けていたとか、直前に話した内容が関係あったのではないかなどは周囲の憶測に過ぎない。