世界的な信用収縮のなか、株式などのリスク資産は大幅に下落し、安全資産といわれる国債に資金が大量に移動している。ユーロ圏のソブリンリスクの高まりなどを背景に、国債よりも安全な現金への動きも拡大しているようだ。

 欧米各国では、日本とまったく事情が異なっているものの、バブル崩壊後20年にわたって低成長に甘んじた日本の二の舞い(日本化)を避けることが、大命題となっているようだ。日本化とは単純にいえば、長期にわたり低成長が続くなかで政府債務が雪だるま式に増え、どうにもならない状態に陥ることといった感じだろうか。

 ところで、見方を変えれば違った日本化の構図が見えてくる。上のグラフは日米独の代表的な株価指数の流動負債、真ん中のグラフは政府債務の対GDP比だ。日本が景気対策として財政支出を拡大するなかで、日本企業は債務圧縮を進めた姿が見て取れる。米国やドイツはリーマンショックによって一時的に企業も債務圧縮を余儀なくされたが、その後は再び増加に転じ、政府債務も緩やかに増加している。今後米国やドイツが、有効な景気対策を打ち出すことができなければ、企業債務は高止まりし民間のバランスシート調整が遅れることも考えられる。