――しかしながら、連結売上高のトップラインが大きく伸びていない中で、変革活動は7年目に入りました。そうなると、社内には「変革疲れ」の現象が出てきませんか。

 確かに、私のところには、そういう声も届いています。

 だが、声を大にして強調したい。変革活動というものは、社員を疲弊させることが目的ではなく、社員の一人ひとりに高いモチベーションを持って仕事に臨んでもらうことに主眼がある。そのためには、社員の自主性・自発性を引き出す必要があります。

 現在、社内では、有志による「たいまつ(松明)活動」というものに取り組んでいます。これは、「一人ひとりの心の中にある小さなトーチ(たいまつの火)を、皆で持ち寄っていこう。皆のモチベーションを高めて、本当に強い会社に変わっていこう」という草の根の改善活動で、私はそうした社員の自主性・自発性こそがイノベーションを生む源になると信じています。社長になった13年以来、私はイノベーションの重要性を社内で繰り返し発信してきました。これからも、繰り返し語り続けるつもりです(笑)。

 改めて整理すると、こうなります。イノベーションとは、オーストリア=ハンガリー帝国出身の著名な経済学者のヨーゼフ・シュンペーター(1883~1950年)が唱えた主要な概念で、大雑把に言えば「無から有を生み出す新しい取り組みばかりでなく、すでにあるもの同士を組み合わせて、新しい価値を創出する活動もイノベーションである」という考え方です。イノベーションは、無から有を生み出すことばかりではない。

 これを企業活動になぞらえると、新しい価値を生み出すのは研究部門に限ると考えがちですが、本質は違います。物流部門であろうと、販売部門であろうと、人事部門であろうと、社内の全ての部門に関わります。イノベーションの創出は、社長の指示によるものではなく、社内全体で生み出していくものなのです。私は、そう考えている。