2013年に国土交通省が発表した『土地問題に関する国民の意識調査』によると、「土地・建物の両方を所有したい」と答えた人は79.2%。世代別に見ると、20~29歳は65%以上が土地と建物の両方を所有したいと思っているという結果が出た。しかし、土地価格が上がる見込みがまったくない現在、マイホームを購入することは、もはや“条件の悪すぎるギャンブル”だ。今の時代に家を買うことがどれだけリスキーなのか、ファイナンシャルプランナーの小屋洋一氏に詳しく話を聞いた。

長期間の借金を
一生背負い続ける覚悟はあるか?

マイホームを夢見る若者たちが陥る「資産価値暴落」の地獄少子高齢化の進むこれからの日本では、不動産価格が跳ね上がることは基本的に期待できない。身の丈を超えた借金をしてまでマイホームを手に入れてしまうと、老後に現金が不足しても、思った値段で家が売れずに苦しむリスクがある

「家の購入を、スマホやパソコンと同じように単純な買い物と考えている人は多い。ですが本来、家を買うということは、大金を使って投資していることと同じです。たとえば、1000万円の家でも、頭金100万円あれば購入できたりしますよね。株式投資でいうところの、借り入れをしてレバレッジをかけて運用していることと同じ事になります」(小屋氏、以下同)

 頭金を支払った後は、数十年の間、住宅ローンという負債を抱えるのが一般的だ。しかし、多くの場合は“住む”ことだけに意識が向いているため、住宅ローン=負債という感覚があまりない。そのため、損する不動産選びをしているケースが非常に多いと小屋氏は言う。特に不動産知識のない若者世代は危険だ。

「日本人は新築に対するこだわりが非常に強いです。でも、不動産の多くは時間経過によって、資産価値がどんどん落ちていきます。2000万円で買った家が、20年後には半分になってしまうなんてことは、よくあります。購入する際に、資産価値の減少は予測できることなのですが、大抵『ここに住みたい』という感覚で家の購入を決めるので、損することに意識が向きにくいようです」

 そもそも、マイホーム信仰が生まれたのは、戦後の国の政策がきっかけだった。第二次世界大戦が終わった昭和20年代の日本では、家の数は圧倒的に少なく、さらに経済状況も悪かった。そこで、経済を発展させるために推進されたのが、個人の戸建ての購入だった。