「プロ彼女」というテーマを取り上げたときには、たまたまスタッフが「プロ彼女って西麻布のバーとかに出没するらしいよ」という話を聞きつけて、確証があったわけではないですが、とにかく実際に西麻布のバーに行ってみました。そしてたまたま隣に座っている人に聞いてみたら「ちょっと心当たりがある……」と言われて、そのルートをたどって、本当に、たまたま見つかった、という具合です。

 だから、常にテーマを20本くらい同時に走らせて、番組にできるものをストックしていないといけない。すごく地道にやっているので「3ヵ月で1本作って」というのはなかなか無理ですね。

――「ワケあり」のテーマはどんな基準で決めるのですか?

大古 知っているようで知らないもの、という視点ですね。例えば、「元国会議員の秘書」というテーマでは、最初は「選挙で落ちた人のその後の人生ってどうなんだろうね」というアイディアが出てきたのですが、そのうち、それよりも「秘書さんの方が大変じゃない?」と。「保育士」がテーマのときも、「保育園落ちた、日本死ね!!!」っていうブログが注目されましたが、保育園に入れないことはもちろん大変なんだけど、「意外によく知らないけど、そもそも保育士さんって大変じゃない?」とか。

――面白そうな人を見つけ出すことができても、実際に本当に面白い話を聞き出せるかどうかは難しいところですね。

大古 そうですね。テーマに合った人でも、当たり前のことを質問したら当たり前の答えしか返ってこない。だから「いかに視聴者の興味をそそる取材ができるか」が、さらに大事になります。例えば、これまでもテレビ番組で薬物の怖さを伝えたり、薬物中毒からの生還を伝えるものはあったと思うんですが、「ねほりんぱほりん」では「どんなに気持ちいいの?」とそっちを聞いちゃう。下世話な質問ですが、そこを省いたら、薬物中毒者だった彼らの本当の気持ちとか、「だからやめられない」という薬物の本当の恐さがわからない。ですから、そこはあえて下世話に聞いていくことを心掛けています。本能的に聞きたいこと、感覚的に聞きたいことを聞く。「薬物の研究論文を作ってるんじゃないんだから」ということは意識してますね。

 あと、聞き方のモットーとしているのは、「なんで?」という風に聞いてしまうと、その答えは「良い・悪い」になってしまう。そうじゃなくて、僕らはとにかくありのままを聞きたい。白黒つけずに。だから「そんで?そんで?」という聞き方をします。「それからどうした?」と。そうすると、「いやー、そんで気持ち良くなってね……」みたいに相手もどんどんしゃべってくれるんです。そこは結構大事にしているし、重要なところです。

 あとは身バレしないように、でもギリギリのところまで聞くのも結構大変なんですよ。

――身バレ……、身元がばれないように、ということですか。

大古 そうです。本人を特定されてはいけないので。でも、当然のことながら、面白いのは具体的な話なんです。それが出れば出るほど面白い。だけど、ここまで伝えてしまうとこの人が誰かわかっちゃう、という……。特にネットはすぐ人物を特定してしまいますからね。そこは本当にすごいですから、本当に。細心の注意が必要です。

――新たな視聴者を獲得するという狙いで「ねほりんぱほりん」を放送して、実際、視聴者の反応はどんなものだったのでしょうか。狙いどおりでしたか?

大古 30代、40代の女性に多く観てもらえました。逆に、NHKの大票田の70歳以上の方にはあまり観られていないです。意外だったのは励ましの声を多くいただいたこと。「NHK内外からいろんな圧力があると思いますが、負けないで」とか(笑)。