昼食後に急に眠くなり、仕事のパフォーマンスが一気に下がる。そんな経験をした人も多いはず。では、眠くならないようにするには何を避け、どんな食べ方をすればいいのか? 20万人以上の臨床経験と、生化学×最新医療データ×統計データから、医学的エビデンスに基づいた本当に正しい食事法をまとめた牧田善二氏の新刊『医者が教える食事術 最強の教科書』から、内容の一部を特別公開する。

なぜ昼食後に眠くなるのか?
――丼物などの単品メニューは一転して低血糖状態に陥る

「昼食を食べると、決まって眠くなる」という人がいます。午後の仕事に向けてエネルギーをチャージしたつもりなのに、逆の結果になってしまうのです。

 これは、昼食に糖質をたっぷりとってどかーんと上がった血糖値が、反動でどかーんと下がって低血糖状態に陥っていることによって起こります。このときに、体の中で起きている変化について簡単に説明しましょう。

 ランチで食べたごはんやパン、麺類は糖質(≒炭水化物)の塊です。そのため、食後に血糖値が上がります。血糖値が上がれば一時的に元気になります。

 一方で、血糖値が上がったことを察知した体は、それを下げるために膵臓からインスリンを放出します。そして、血糖値が急激に下がります。

 血糖値が大きく下がると、ハイな気分から一転、イライラしたり、吐き気や眠気に襲われたりと不快な症状が出るのです。昼食後に眠くなるのも当然というわけです。

 このとき、眠くなったからといって、缶コーヒー、清涼飲料水などで「目を覚まそう」としないでください。これらは、大量の糖質を含んでいるため、また血糖値がとんでもなく上昇します。それによって、一時的にすっきりしたような気分になります。しかし、その後にまた血糖値の急降下に見舞われます。すると、「またあのハイな気分になりたい」とばかり、血糖値を上げる糖質が欲しくなり、同じことを繰り返してしまうのです。

 この辺りのメカニズムについては、新刊『医者が教える食事術 最強の教科書』で詳しく書いていますが、「糖質中毒」という脳がおかしくなってしまった非常に深刻な症状です。しかし、中毒に陥っている本人は、その自覚がまったくありません。

 清涼飲料水などのメーカーは、人の至福点について計算し尽くし、商品を設計しています。言ってみれば、糖質中毒患者を増やすことで利益を得ているのです。知的なはずのビジネスパーソンが、それにまんまとはまっていてはいけません。

 血糖値の急上昇・急降下を引き起こしやすいのが、牛丼やラーメンといった「単品もの」です。うどん、そば、パスタ、カレーライス、にぎり寿司なども同様ですが、おかずや付け合わせのない一品ものは、そのほとんどをごはんや麺類など糖質が占めています。

 しかも、ひたすらその一品を食べ続けることになり、結果的に早食いにもなります。大量の糖質を早食いすればどうなるか、もうおわかりですね。

 ちなみに、カレーライスはルーにも小麦粉が使われており糖質たっぷり。また、握り寿司の酢飯には、砂糖も含まれています。

 日頃から炭水化物を避けつつも、とくに集中して仕事をしたいときなどは、糖質を抑えながら、よく噛んでゆっくり食べるように心がけてみてください。ちゃんと睡眠をとっているのに午後いつも眠くなる人は、糖質のとりすぎが原因かもしれません。

 社員食堂で済ませるにしろ、外の店で食べるにしろ、あなたが昼食に選ぶべきは主菜・副菜などのサイドメニューの付いた定食です。単品の丼物は避けるようにしてください。いわゆる和風の定食でなくてもかまいません。洋食の店でもおかずやサラダがついたセットメニューを注文しましょう。

 そして、定食のお皿をざっと眺め、まずは野菜類から食べます。次に肉や魚などのタンパク質中心のおかずを食べ、ごはんやパンはなるべく後半に回します。そして、できれば残すようにしましょう。

 残すのが嫌いな人は、最初から「ごはんは半分にしてください」と言いましょう。面倒に思えるかもしれませんが、クセにしてしまえばどうということはありません。これまで単品もので済ませていた人が、こういう昼食をとるようになれば、確実に体重が落ち、体調も整ってくるはずです。だまされたと思ってやってみてください。