どうしたらお金とうまくつき合っていけるのか?(写真はイメージです)

要約者レビュー

「太るとわかっていながら間食がやめられない」「報酬をもらったのにやる気がなくなってしまう」。「あるある」とうなずいた読者もいるだろう。私たちの判断や意思決定は、自覚している以上に感情に左右されている。

『アリエリー教授の「行動経済学」入門』
ダン・アリエリー著、NHK白熱教室制作チーム訳、 205ページ、早川書房、660円(税別)

 本書『アリエリー教授の「行動経済学」入門』は、行動経済学ブームの立役者、ダン・アリエリー教授が、人のふるまいの不合理さを、独創的な実験とケーススタディとで解明していく一冊だ。人が合理性からはずれるパターンには一定の傾向があり、その傾向と対策、思い込みとのつきあい方が解説されている。テーマは、お金の使い方を変えてしまう意外な要素や、人に流される性質が行動に及ぼす恐るべき影響、誘惑に負けずに自己コントロールするための工夫など、多岐にわたる。NHKで放送され人気を博した連続講義の書籍化ということもあって非常に読みやすく、グイグイ引き込まれてしまうだろう。

 行動経済学といえば、ノーベル経済学賞を受賞し、『ファスト&スロー』などの著作があるダニエル・カーネマンが有名だ。しかし、行動経済学を一般社会でこれほどポピュラーなものにしたのは、ユーモアあふれる語りと筆致で聴講者、読者を魅了し続けている、アリエリーの力によるところが大きいだろう。

「行動経済学の本はハードルが高い」と思っている方にこそ、本書を手に取っていただきたい。人間がいかに不合理な生き物かを知っておけば、重大な意思決定で「しまった……」と後悔する確率を限りなく下げられる。何より、「まぁ、人間そんなものか」と肩の力を抜いて、前向きに人生を送れるようになるだろう。(松尾 美里)

本書の要点

(1) 人は人生の目的や目標、願望といった壮大なもののために日々行動するのではない。実際には、不合理な選択を行いやすく、置かれている環境に左右される傾向にある。
(2) 感情は意思決定を大きく左右する。一般的に、問題が大きくなればなるほど、人々の関心は小さくなる。
(3) 最初に行った意思決定が、その後の行動をずっと左右する。このアンカリング効果は「無料」に対して強力に働く。