正解主義ではなく
「修正主義」で生きる!

大塚:最初の問いに戻って、今度は「結婚しなければよかった」という人たちの後悔について考えていきたいのですが、これは、結婚はしたけど、結婚生活がうまくいかずに離婚したいと思っている人とか、実際に離婚した人たちの後悔ですね。この後悔については、どう思いますか?

藤原:離婚届には「性格の不一致」なんて書きますけれど、そもそも夫婦の性格が一致するわけがないと思うんですね(笑)。

大塚:そうそう。問題は、うまくいかないときに、いかに修正をするのかということだと思います。修正する術を知っていたら、結婚を後悔することも少ないはずです。

藤原:相手にも「正解」を求めるから、「この人が正解だ」と勘違いして結婚してしまう。そして、一緒に暮らしてみたらぜんぜん「正解」じゃなかったとか、結婚式の当日から違っていたとか、親戚と会った途端に違っていたとか。0か1かで「正解じゃないから、これはだめだ」という判断を下してしまう人が多いようですね。

なぜ、結婚に後悔が集中するのか?<br />一生を左右する決断を間違える本当の理由<br />藤原和博×大塚寿 対談【前編】大塚寿さん

大塚:好きか嫌いかで、中間がないから、対極にいってしまう。好きでなければ嫌い、という二元論では、夫婦生活はもちろん、仕事の人間関係も友人関係でさえ上手くいかなくなってしまいますよね。好きでも嫌いでもないゾーンが一番広いかもしれないのに。

藤原:だから、僕は「修正主義」というのを提唱しているんですよ。「正解主義」ではなくて「修正主義」。自分も歩み寄っていく、相手も変わっていく、その変化と変化を認め合うことでお互いが成長していくことこそ大切だと。夫婦も二元論で判断するんじゃなくて、修正しながら変わっていっていい。いまの若い人たちは、違いを認めて修正していくというのが苦手ですね。

 それは仕事選びや会社選びでも同じだと思いますが、数社のなかから「この仕事や会社は正解だ」と思って入社するわけでしょう。けれど、いざ入ってみたら、これは自分にとって正解じゃない、それですぐ辞めようってなってしまう。仕事に対するイメージを修正するとか、自分の価値観を修正しようとはしないで、正解でなければ不正解だと二元論で判断してしまう。それではもったいない。

大塚:まさにそうですね。『30代を後悔しない50のリスト』でも、修正を前提とした人生設計や、うまくいかなければ「はい、別れます」ということではない、夫婦間の修正方法について書いています。夫婦がお互いの違いを認め合って関係を修正していくためのコツみたいなものです。

 正解主義ではなく「修正主義」というのは、夫婦関係に関わらず、人生すべてにいえることですね。進学や就職から仕事、恋愛、キャリア設計まで、壁にぶつかったときに後悔しないようにするには、早急に正解を出すのではなく、「修正主義」で人生を乗り越えていく柔軟な発想が必要なんですね。(後編に続く)

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なぜ、結婚に後悔が集中するのか?<br />一生を左右する決断を間違える本当の理由<br />藤原和博×大塚寿 対談【前編】

 

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 【特別対談の日程
●第1回:「藤原和博×大塚寿」(前編)
●第2回:「藤原和博×大塚寿」(後編)(11/1)
●第3回:「川北義則×大塚寿」(前編)(11/2)
●第4回:「川北義則×大塚寿」(後編)(11/4)
●第5回:「桑野克己×大塚寿」(前編)(11/7)
●第6回:「桑野克己×大塚寿」(後編)(11/8)
●第7回:「渡辺佳恵×大塚寿」(前編)(11/10)
●第8回:「渡辺佳恵×大塚寿」(後編)(11/11)