大都会では同居者なしの
母子父子家庭は存続が難しい?

 2015年の離婚比率と比較すると、まずは離婚が多い県は母子父子家庭の比率も高いという至極当たり前の傾向だ。1位の沖縄県、2位の宮崎県は、そのまま離婚比率の1位2位である。

 興味深いのは、離婚比率と母子父子家庭の世帯比率の順位にズレがある都道府県である。典型的なのは大阪府で、離婚は4番目に多いにもかかわらず、母子父子家庭の世帯比率は低い。同じ傾向は東京都(47位)、神奈川県(46位)にも当てはまる大都市圏に共通した傾向だ。全国平均が30.8%に対して、大阪府は21.7%、東京都は22.4%である。逆に岩手県43.7%、秋田県49.3%、山形県47.6%と多い。

 なぜ、離婚比率が高いのに母子父子家庭が少ない、という不思議な現象が起きているのだろうか?

 もうひとつ不思議なのは、母子家庭と父子家庭の比率を見ていくと、左のグラフにあるように同居あり母子父子家庭の比率が高い都道府県では、父子家庭の比率も多くなる傾向だ(表中では母子家庭:父子家庭倍率)。

 想像の域を出ないが、たとえば東京都や大阪府、神奈川県といった大都市圏では、住宅事情が厳しかったり、就業の構造、幼児保育の未整備の問題のために、そもそも同居なしの母子父子家庭を維持するのが困難なのではないだろうか。そして特に父子家庭にその傾向が高いということだ。

 シングルマザーの困窮ばかりがクローズアップされる傾向にあるが、実は昼間のフルタイムの仕事を抱えたシングルファーザーは、仕事と子育ての両立に苦しんでいる。かつ、母子家庭に比べて父子家庭では、「収入が多いだろう」と、かつては支援策も母子家庭とは差が付けられていた。いまも有形無形のハンディはあるはずだ。

 同居者なしで母子父子家庭を維持するのが困難。であれば、「離婚して実家に戻って子育て」が現実的ということになる。大都市圏の場合、地方出身者も数多くいるから、東京で離婚(東京の離婚率にカウントされる)、その後、地方の実家に戻ってジジババや兄弟と共に生活(母子父子家庭の数字はこの地方にカウントされる)という現象が起きている可能性がある。

 もうひとつの仮説は、親族の支援がないシングルでの子育てが困難と知って、離婚を踏みとどまっているケースだ。いずれの場合も、大都市圏での母子父子家庭の数字を小さくする要因になる。