ホンダは「寄居工場集約」体制でEV時代を勝ち抜けるか?埼玉の寄居完成車工場 Photo:HONDA

国内の4輪車生産体制を再編
ホンダが目指す「モノづくり」強化

 本田技研工業(ホンダ)は10月4日、日本国内の4輪車生産体制を再編する計画を発表した。関東圏は、埼玉県狭山市の埼玉製作所狭山完成車工場を閉鎖し、2022年3月までに同じ埼玉県内の埼玉製作所完成車工場に生産を集約する。中部圏は、生産委託先(現在はS660などを製作)になっている八千代工業を完全子会社にし、多品種少量生産に対応する。

 これによりホンダの国内生産は現在の年間106万台から81万台に減少するが、ホンダの八郷隆弘社長は「日本のものづくりをもう一度強化することが狙い。寄居工場はEV(電気自動車)など新技術を集積させる」と語った。

 ホンダによると、今回の4輪車生産体制の再編は「国内生産拠点の進化」「グローバル生産技術の進歩を日本で行う機能の新設」という目的がある。電動化や知能化など、クルマづくりの変化に対応するためには、開発現場だけでなく生産現場も発展させていく必要がある。

 ホンダは1980年代末に日本の自動車メーカーとして初めて米国に工場進出。その後は、90年代初頭にかけて日本、北米、アジア、欧州という4極開発体制の確立を進めた。海外での現地生産体制と併せて、開発の現地化にもいち早く取り組んできた。

 一方、ホンダの生産技術はずっと日本が中心となって開発してきた。日本発の技術を各地域がそれぞれの事情に合ったかたちで取り入れ、新型車の生産立ち上げに当たっては日本の工場がマザー工場となり、その実績を海外生産拠点に転用するという方式がとられてきた。今回の生産体制再編も、こうした従来の方法論がベースにある。