クールジャパンに欠けている
「おもてなし」の精神

 彼らに「意識の高い」マレーシア人富裕層を惹きつける商品説明をさせるためには、相当な教育が必要なはずだ。しかし、コストと時間を考慮すれば、そのような教育が効率的とは思えない。

 ならば、製品の説明を事細かに書いた解説を各所に置いておき、「本物の日本」に興味のある富裕層マレーシア人の購買意欲を刺激するような工夫が必要だと筆者は感じた。

 この例の根底にあるのは、「マーケティング不在」だと筆者は思っている。ターゲットである、日本に興味のあるマレーシアの富裕層の購買意欲を刺激するような情報をうまく与えなくては、購買行動まで結びつかない。上記の例のように、せっかく興味を持って売り場に来てもらっても、それを削ぐような案内をしていては、売れるはずがない。

 冒頭に挙げたニュースでは、クールジャパンを「戦略なき投資」と見ている。極端にいえば、相手国の事情や文化について深い考察をせずに「ジャパンってクールだろ?」と「日本の押し売り」をしている、と見ているのだ。

 もともと日本の「おもてなし」は、きめ細かなマーケティングが基本のはずだ。京都のお茶屋である「いちげんさんお断り」は、排他的な意味ではなく、紹介者によってお客の好みを把握し、個人のニーズを満たす「カスタマイズされた」サービスを提供するためのものだ。

 オバマ元大統領が現役時に来日したときには鮨、今回来日したトランプ大統領は鉄板焼きでおもてなしをしたのも、個々人の好みをリサーチしてのことだろう。