後藤新平も予測できなかった
高層マンションの「震災リスク」

 中央区を南北に縦断する昭和通り。昭和の始め、関東大震災からの「復興のシンボル」として整備されたものだ。昭和通りだけではない。道路率1位を誇る中央区の道路の骨格は、ほぼこのときでき上がる。まさに、「都市計画100年の大計」と呼ぶにふさわしい。

 この復興計画をプロデュースしたのは、後藤新平。だが、「大風呂敷」と揶揄された後藤にも想像できなかった震災リスクが、今中央区を悩ませている。

 人口増加を重点施策に掲げる中央区。区の努力の甲斐あって、人口は過去10年間で1.7倍に増加した。住まいの受け皿を一手に引き受けるのは、マンション。なかでも高層マンションだ。

 集合住宅に住む世帯の割合は86%。うち7割(全世帯の6割)を、11階建て以上の高層住宅居住者が占める。その結果として、全区民の2割以上が11階以上の高層階に暮らしている。ちなみに、ここまでに出てきた数値は、すべて東京一である。

 高層マンションは、建物自体は優れた耐震性を持つ。家具の転倒には厳重注意が必要だが、転倒防止器具等を取り付ければ、被害は大きく軽減できる。しかし、停電でエレベーターが止まったら、途端に生活困難に陥ってしまう。

 区は、『揺れる高層住宅! その時あなたは…』と題したパンフレットとDVDを用意すると共に、今年1月には高層住宅向けの『震災時活動マニュアル策定の手引き』を作成し、マンションの管理組合や自治会に配布した。全116ページに及ぶ『マニュアル策定の手引き』は、高層住宅の防災対策を懇切丁寧に紹介した力作である。