三越伊勢丹HDが新中期計画で掲げる「ネット通販強化」の現実味杉江社長は、「改装が失敗しても大丈夫」と口にするほど、コスト削減への自信を深めている Photo by Satoru Okada

 日本の百貨店の礎であり、三井グループの起源ともいわれる日本橋三越本店。富裕層を中心に今なお根強いファンを持つが、老朽化が著しく、三越伊勢丹ホールディングス(HD)は100億円規模の改装を計画している。

 11月7日、同社の杉江俊彦社長は、2017年3月期中間決算と共に18~20年度の中期経営計画を発表し、コスト削減と成長戦略を同時並行で進める考えを示した。

 まずコスト削減については、退職金を最大5000万円積み増して早期退職を促す制度への800~1000人の応募を想定。実現すれば数十億円から100億円以上の削減効果がありそうだ。

 営業コストの削減は店舗単位だけでなく、フロアや入居するブランドごとに目標を課すなど徹底し、「予想以上に進捗している」(杉江社長)。さらには、伊勢丹新宿本店、三越銀座店と並ぶ同社の基幹3店の一つである日本橋三越本店について、「100億円規模の投資に見合うコスト削減を課して、リモデル(改装)が失敗しても大丈夫なようにした」と胸を張った。

 万が一失敗しても業績への影響は小さいとの考えだろうが、会社全体では早期退職によるコスト削減も当てにしているわけで、社員の士気や気概をくじきかねない発言だ。