「報告書」とは名ばかりで、中身はいわば“反省文”だった──。自らが手を染めた検査証明書のデータ改ざん等の不正行為に対し、11月10日に神戸製鋼所が発表した原因究明、および再発防止策に関する報告書のことである。
まず、不正の原因がはっきりしなかった。「収益評価に偏った経営と閉鎖的な組織風土」など、原因として5項目を挙げたものの、「考えられる」「推察される」などのあいまいなワードが多出。結局、どこまでが事実なのか判断しようのない代物になっている。
さらに、不正行為はいったい誰が、どういう経緯で始め、いつ、どの役職レベルの人が、どこまで把握するようになったのか──。こういった詳細が明かされることもなかった。
もっとも、神戸製鋼にとって、こうした批判が出るのは承知の上のことかもしれない。今回の報告書を取りまとめた同社の「品質問題調査委員会」そのものが有名無実化しつつあったからだ。
10月19日、本社主導による一連の内部調査の過程で、長府製造所の管理職を含む複数人が、アルミ製品における不正の隠蔽を行っていたことが発覚。品質問題調査委については、調査対象である川崎博也会長兼社長が委員長を務めることに疑問の声がもともと上がっていたのだが、これをきっかけとして、徹底調査は外部委員のみから成る「外部調査委員会」に譲っていたのだ。