マイクロVCの代表格でもあるブランバーグ・キャピタル。写真は創業者のデイビッド・ブランバーグ氏 Photo:Blumberg Capitalのホームページより

「東証がITシステムに初採用した『謎の米ベンチャー企業』の正体」といった内容の記事が2017年9月、「週刊ダイヤモンド」に掲載された。

 東京証券取引所という日本経済の中心舞台で、情報システムが次世代へ更改されるに当たり、その技術基盤が日本を代表するIT企業の手から米国企業に渡った。しかも、その米IT企業は、創業10年そこそこの「謎のベンチャー企業」だというものだ。

 これは、NUTANIX(ニュータニックス)というシリコンバレーにある企業だ。ストレージを使わずにサーバーだけで仮想化環境が実現できる。そんなデータセンターのインフラを根本的に変える「破壊的な技術」を提供している。2009年に創業後わずか7年で株式上場を果たし、現在、時価総額30億ドル(約3300億円)を超える企業だ。

 このベンチャー企業を育てたのは、Blumberg Capital(ブランバーグ・キャピタル)というシリコンバレー(正確にはサンフランシスコ)のベンチャーキャピタル(VC)だ。ニュータニックス創業時の09年に出資、14年時点でユニコーン(企業価値が10億ドル=約1100億円を超えた企業)規模に成長させた。

 ブランバーグとは聞き慣れない名前かもしれない。10年ほど前から頭角を現したVCで、日本では無名だ。だが、シリコンバレーのインナーサークルではよく知られた存在だ。フィンテックやセキュリティーなどの分野でベンチャー企業の育成とその投資成績に定評があり、われわれも出資しているVCである。