新興勢力の誕生

 今、シリコンバレーではこのような新興VCが続々と生まれている。これらの新興VCは、「スーパー・エンジェル・ファンド」あるいは「マイクロVC」と呼ばれており、その命名は成り立ちに由来している。

 05年ごろ、今では常識となったソーシャルメディアやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のベンチャー企業が立ち上がった。これらは、まず利用ユーザーを拡大させてから売り上げを考えるビジネスモデルだった。

 もともと、米国には800社以上のVCが存在していた。だが、それまでの常識と違うビジネスモデルに、大手のVCは投資をちゅうちょした。

 その代わりに、「エンジェル投資家」が台頭した。彼らは生まれたばかりで企業価値もつけられないベンチャー企業に、その可能性を信じて投資する人々だ。彼らは事業を成功させて財を成した者が多いのが特徴だ。

 彼らの資金が成長を後押しし、米ツイッターや米フェイスブックなどを生んだ。そうした企業が世界を席巻すると同時に、エンジェル投資家たちに巨万の富をもたらした。

 エンジェル投資家の一部にはファンドを立ち上げて、プロのVCとして投資を開始する者もいた。彼らの投資リターンが抜群に良かったので、機関投資家も出資するようになり、VCファンドとして確立されていった。スーパー・エンジェル・ファンドと呼ばれるゆえんである。

 実際、テキサスでベンチャー企業を起こして上場までさせた青年が私の会社を訪ねてきたことがあった。「シリコンバレーで投資を始めたい」という。

 われわれは新しい動きを察知していたので、まだ知名度の低かったツイッターへの投資を勧めた。この投資で彼は大きな利益を得て、その後VCファンドを立ち上げた。今では、新興勢力の中核としてかなり名の通った存在となった。

 もともとエンジェル投資家でない人たちもこの成功を見て、VCファンドをつくり始めた。これら新興VCを総称して「マイクロVC」と呼ぶようになる。

 背景にあるのが、ITを使ったサービス開発の世界で「革命」が起きたことである。