人間の心は「情報、記憶の更新、発信」で成り立っている
私の考える答えはこれだ。
1.「情報」を入れ
2.「記憶を更新」し
3.「発信」する
「人間の心は何からできている?」そう問われれば、1の「情報」からできていると言える。つまり心は、情報からつくられた記憶の集合体と考えられる(したがって心は脳そのものといえる)。
2の「記憶の更新」とは、入ってきた新しい情報によって必要なくなった古い記憶を新しい記憶に書きかえることだ。新しい情報を遮断し、過去の古いネガティブな記憶をひたすら思い出してグルグルとめぐらせていると、心の病になってしまうのも容易に想像できるだろう。
健康な心づくりには3の「発信」も欠かせない。発信とは、言葉や態度、行動などだ。それは先ほどの「排泄」と同様、心が健康かどうかをチェックできる、いいバロメーターである。便と同じように、心が健康な人は言葉や態度、行動が美しい。
場数を踏んでも治らない理由
自分のことをあがり症だと思っている人は、1の「情報収集」においては、 「あがり症」「緊張」「スピーチ下手」「うまくいかない」「人の目が怖い」など、うまくいかない情報ばかり収集していることが考えられる。
人と話していてちょっとでも「言葉が詰まった」「赤面した」「震えた」などがあったら、自分があがり症である理由の裏付け情報として収集してしまうのだ。
次に、2の「記憶の更新」。
1でうまくいかない情報しか収集していないため、当然だが良い情報、うまくいく情報で記憶の更新ができない。そのため思い出すのは、うまくいっていない記憶だけだ。何度も何度もうまくいっていない記憶を思い出しては体感するので、ますますその記憶は強く焼き付くことになる。
次に3の「発信」。
いい情報を得ているわけでもなく、成功の記憶を持っているわけでもないので、そこから発信(言葉や態度、行動など)するものは、やはりうまくない発信=あがり症色の濃いものになる。それをまた1の情報として収集するので、場数を踏めば踏むほど、どんどん苦手意識を高めていくという結果となる。
心の負のスパイラルから抜け出す方法
この一見抜け出しようのない心の負のスパイラルを解決する方法は、実はとても簡単だ。すでにお気づきの方もいらっしゃると思うが、心に「新しい情報」を入れ、「記憶を更新」し、「発信」をコントロールすればいいのだ。
次回から、その具体的な方法について解説していく。
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