あなたの“可処分時間”はどのくらい?

 このコラムの冒頭で、あなたの「人生の残り時間」についてお話ししました。これについて、もう少し考えていくことにしましょう。

 人生の残り時間を計算するときのポイントは、24時間からあなたの平均睡眠時間をあらかじめ引いてしまうということでした。たとえばあなたの平均睡眠時間が6時間だとしたら、24-6=18時間があなたの1日の「生きた持ち時間」となります。

 睡眠時間をあらかじめ引いてしまう理由は2つあります。1つめは、パスカルも言うように、そもそも人間は「考える葦(あし)」だからです。寝ている間は思考が働きません。その意味で、眠っているということは死んでいるも同然だからです。

 もう1つの理由は、睡眠時間を十分にとらないと体が持たないからです。ときどき、「睡眠時間を削ってがむしゃらに働いています」という人にお目にかかります。それだけの熱意をもって仕事に取り組む姿勢は、大変すばらしいと思います。

 だがしかし、です。

 仕事には大前提があります。「持続可能(サステイナブル)な働き方である」という前提です。そのペースでずっとやっていける自信が十分にあるのなら問題はありませんが、人間はロボットではないのだから、無茶をすれば必ずどこかにしわ寄せが来ます。

 たとえあなたがどれほど若くても、適度に息抜きを入れなくてはどこかでプツッと糸が切れ、肉体的にも精神的にもまいってしまいます。睡眠不足で頭がフラフラの状態では、斬新でクリエイティブなアイデアなど出てこないでしょうし、身体を壊せば結局まわりに迷惑をかけることになってしまいます。

 そうならないためにも、睡眠時間を削るのはものの順番としては2番目。それより先に考えるべきは、18時間というあなたの生きた持ち時間をうまくやりくりして、どうやって可処分時間の有効活用を図るかということです。

 仕事に没頭するあまり、毎日終電ぎりぎりまでがむしゃらに働いている状態なら、セーブしたほうがいいどころか、セーブしなければいけません。

 ただし、睡眠時間を差し引いた“生きた持ち時間”が1日18時間あるとはいえ、それをまるまる自由に使える人はそういないでしょう。生きていれば毎日食事をとったり風呂に入ったりはしますし、会社勤めの身なら通勤時間や定例会議など、自分の意志とは関係なくこなさなければいけない諸事万端が山ほどあるはずです。

 そこで、純粋に自分の思いどおりにならないこうしたルーティン時間を先ほどの18時間から引いてしまいます。たとえば、1日に3度の食事で合計2時間、往復の通勤時間に2時間、勤務中の定例会議に1時間、帰宅後の入浴に1時間を要するならば、生きた持ち時間(18時間)から6時間を引いた12時間が、あなたの可処分所得ならぬ“可処分時間”となります。この12時間をどのように使うかが勝負になるというわけです。

   24時間 − 睡眠時間 − ルーティン固定時間 = 1日の可処分時間