最近、若い人たちと話をしていると、“モノ”を持つことにこだわる人が減ってきたことを痛感する。ある社会人1年生の学生は「ドライブが趣味だ」という。しかし、なんと彼は“マイカー”を持っていない。クルマは“シェアリング”しているのだ。

シェアリングエコノミーが浸透しても企業が生き残る方法

「クルマは乗りたいときにだけ借りればいい。クルマを買わない分、将来に備えて貯金もできる」という。

 われわれが若い時とは明らかに違う。

 かつては「ドライブが趣味」といえば、自分のクルマを持ち、大事な“愛車”としていつも磨いていたように思う。時の流れを感じる。

 第2次世界大戦後の復興、高度成長期を通して、カラーテレビやクルマなどのモノ(資産)を手に入れることが豊かさの象徴だった。

 バブルの崩壊までは不動産価格も上昇トレンドにあったため、実物資産を手に入れ価格上昇のメリットを享受することも重視された。資産の所有権を手に入れることが、人々の生き方に影響を与えてきたと言えよう。

 ここに来て「使うときだけ借りればいい」という消費者心理の変化には、経済も相応の影響を与えるだろう。

 その一つの象徴が、シェアリングエコノミーの急速な普及だ。経済合理性だけで考えれば、シェリングエコノミーは大きな意味を持つ。今後も、シェアリングエコノミーが人々の暮らしに浸透していくのは間違いないだろう。

 問題は、シェアリングで節約できたお金をどこに使うかだ。

 それは消費者にとって重要な関心であり、企業から見れば有効な戦略に繋がる。企業は、「消費行動の変化」を敏感に把握することが大切になる。