最近、トヨタ自動車と日産自動車が相次いで、走行性能に優れたカスタム・モデルを販売するスポーツブランドを強化している。トヨタは「GR」ブランドを発表、日産も既存の「NISMO」の強化と新たなサブブランド「AUTECH(オーテック)」の投入を発表した。しかし、これらにラインナップされた車種を見て、不思議に思う人も少なくないだろう。走りを重視したブランドなのに、ファミリーカーの代表であるミニバンが入っているからだ。(モータージャーナリスト 鈴木ケンイチ)
スポーツブランドで
ミニバンが登場する不思議
スポーティなサブブランドを打ち立て、そこからカスタムモデルを発売するのは自動車メーカーとしては定番の手法だ。
特に欧州メーカーは、そうしたブランドビジネスが得意で、メルセデスベンツはAMG、BMWはMモデルなどが高性能かつプレミアムなモデルとして人気を集めている。
それに対して日系メーカーも同様の手法を採用するが、昨今、改めてスポーティなサブブランド強化の動きを見せてきた。
トヨタは9月に「GR」ブランドの発表を行い、11月下旬から順次、アクアや86、プリウスα、ヴィッツなどのGRモデルを発売している。また、日産も11月24日に「NISMO」の強化と新たなサブブランド「AUTECH(オーテック)」の投入を発表した。
そこで日産がお披露目したのは「セレナNISMO」と「セレナAUTECH(オーテック)」であった。スポーティなサブブランドの発表なのに、なぜか登場したのはミニバンだ。
スポーツクーペでもなければ、ハッチバックでもない。しかし、これには理由があったのだ。