医療機関の機能分化のために
導入された定額負担とは

 患者にとっては自由度が高く、便利なフリーアクセスの日本の医療制度だが、限られた医療資源を効率よく使うという観点からすると、財政的にも、人材的にも無駄が多くなる。また、症状に関係なく大病院に患者が集中することで、病院で働く勤務医に過重労働を強いる原因にもなっている。

 さらに、団塊の世代が75歳以上になる2025年も目前に迫っている。人口の高齢化による患者の増加に対応するために、国はこれまでの病院完結型の医療から、地域全体で患者を治し・支える医療制度への転換を急いでいる。

 そのためには、患者に「大病院は専門性の高い手術や化学治療」「診療所や中小病院は、慢性期の治療や日常的な健康管理」と、受診の目的に合わせて医療機関を使い分けてもらう必要がある。そこで、前回(2016年度)の診療報酬改定で導入されたのが、「紹介状なしの大病院受診時の定額負担」だ。

 お金を使って誘導する政策には疑問の声も上がったが、患者に受診行動を変えてもらうためにやむなく導入が決定。2016年4月から、診療所や中小病院などの医師の紹介状(診療情報提供書)を持たずに、一定の規模の大病院を受診した患者からは、医療費の一部負担金(年齢に応じて医療費の1~3割)に加えて、特別料金として定額負担を徴収することが病院に義務づけられた。

 2016年4月からの定額負担の金額、対象となった医療機関は次の通りだ。

◆定額負担の最低料金
・初診時5000円(歯科は3000円)以上
・再診時2500円(歯科は1500円)以上
 ※この金額は最低料金で、実際は病院の裁量で金額を決められている

◆対象となった医療機関
・大学病院など高度な医療を提供する「特定機能病院」
・地域医療で中核的な役割をしている「地域医療支援病院」のうち、一般病床が500床以上の病院

 この制度の導入によって2016年4月から対象になった医療機関は、全国で262施設(特定機能病院が85施設、地域医療支援病院は177施設)。緊急性が高かったり、病気の種類などによってやむを得ない事情があったりする場合は徴収されないが、紹介状を持たずに対象病院を受診した患者は、原則的に特別料金が徴収されることになった。

 この制度の対象病院が、早くも拡大されそうだ。