◇楽観主義者は成功する

 ポジティブ心理学の創設者、マーティン・セリグマン教授は、著書『Learned Optimism』の中で次のように述べている。「ものごとを楽観的に考えるか、悲観的に考えるかによって、人生の成功や幸せに差が出る」。

 楽観的思考か悲観的思考かどうかは、生まれながらの性格だけでなく、「説明スタイル」と呼ばれる、ものごとの捉え方にも影響される。説明スタイルは、楽観的説明スタイルと悲観的説明スタイルに分けられる。

 楽観的説明スタイルでは、良い出来事が起きたとき、その出来事の原因を内的(自分自身に原因がある)・永続的(これからも長く続く)・普遍的(あらゆる場合に作用する)と捉える。悪い出来事が起きたときは、外的(他者に原因がある)・一時的・限定的と捉える。一方、悲観的説明スタイルでは、良い出来事が起きたとき、その出来事の原因を外的・一時的・限定的と捉える。悪い出来事が起きたときは、その出来事の原因を自分のせいと考え、永続的・普遍的と捉える。

 セリグマンは、ある生命保険会社のベテラン外交員200人を対象にアンケート調査を行った。すると、楽観度が高い人たちは低い人たちよりも、最初の2年間で平均37%も多く契約を獲得していたという。説明スタイルの違いが、実際の販売実績に大きな差を生み出したといえる。

◆人とのつながり
◇多様なつながりが幸せをもたらす

 ポジティブ心理学の重要な考え方として、「人とのつながりが幸せにつながる」というものがある。では、どのようなつながりが幸せをもたらすのか。著者は2014年に、20歳から64歳までの日本人1万5000人を対象にアンケート調査を実施した。

 その結果、多様な知り合いがいる人が幸せだと分かった。友達が5人いたとする。全員が同じ職場の人よりも、それぞれ小学校時代の友達、中学校時代の友達、職場の友達、趣味のサークルの友達、ご近所の友達というように、幅広い人間関係を築いているほうが、狭く深い関係よりも、人の幸せに寄与するという。

 多様なつながりが幸せに寄与する理由は2つある。1つ目は、多様であるために相手からそれぞれ違った刺激が得られるからだ。同じ職場の友達しかいないと、話題はおのずと限られてくるため、単調になってしまう。その点、多様な友達がいれば、自分の知らない世界にふれられる。こうして新しい刺激を受けると、脳は幸せだと感じやすくる。

 2つ目は、多様性によって楽観的になれるからだ。同じ職場の5人が友達だと、グループ内で出世や給料などのわずかな差に敏感になり、互いを比較してしまいがちである。一方、友人同士で年齢や性別、職業、置かれた立場が違うと、比べる必要がないため、楽観的になりやすい。

【必読ポイント!】
◆幸せの4つの因子
◇「やってみよう!」因子と「ありがとう!」因子

 ポジティブ心理学では、「幸せは原因にもなる」と強調されている。幸せを最終目的にするのではなく、少しずつ幸せな心を育てておくと、次々に良いことが訪れるという意味だ。では、具体的にどんな要因が必要になるのだろうか。

 著者は日本人1500人を対象に「幸せの因子分析」を行った。29項目に及ぶ、幸せに影響する心的要因に関するアンケートを行い、コンピュータの分析によって幸せの構造を科学的に明らかにしたのである。その結果、大きく分けると幸せにつながる4つの因子が発見された。