第一因子は、「やってみよう!」因子(自己実現と成長の因子)である。この因子は、コンピタンス(私は有能である)、社会の要請(私は社会の要請に応えている)、個人的成長(人生が学習や成長に満ちている)、自己実現(今の自分はなりたかった自分である)という項目と関連性が深かった。

 第二因子は、「ありがとう!」因子(つながりと感謝の因子)である。この因子は、人を喜ばせることや愛情、感謝、親切、他者との心の通う関係が幸せに寄与することを示している。第二因子は周りとの安定した関係をめざす因子といえる。

◇「なんとかなる!」因子と「ありのままに!」因子

 第三因子は、「なんとかなる!」因子(前向きと楽観の因子)である。この因子は、楽観性、気持ちの切り替え、積極的な他者関係、自己受容(自分は人生で多くのことを達成してきた)という項目との関連性が深かった。自己実現や成長(第一因子)をめざす場合や、他者とのつながり(第二因子)を育む場合にも、第三因子の楽観性の存在が重要である。とりわけ、自分の良い面も悪い面も含めて自分を認めるという「自己受容」ができていると気持ちが安定しやすい。

 第四因子は、「ありのままに!」因子(独立とあなたらしさの因子)である。この因子は、自分と他者を比較しない傾向や、自己概念の明確傾向などと関連が深い。人の目を気にせず、制約にもとらわれずに自分らしさをはっきり持っている人が幸せということを示している。

 この幸せに寄与する4つの因子を満たすように心がけていれば、幸せになれる。

◆ハッピーエクササイズ
◇「3つの良いこと」を書く

 ここからは、ポジティブ心理学の知見をもとにした、幸福度を高めるためのハッピーエクササイズを紹介する。

 まずは、「three good things」である。このエクササイズでは、毎晩寝る前に、その日あった「3つの良いこと」を書き出し、これを一週間続ける。人は一日の終わりにその日を振り返るとき、嫌なことに焦点を当てる傾向がある。しかし、「3つの良いこと」を書くと、それまで漫然と過ごしていた一日の中にあった良いことの存在に気付き、一日を前向きに捉え直すことができる。

 このエクササイズを考案したセリグマンは、「three good things」をうつ病の人に試した。すると、一週間続けるだけで、その後半年間にわたって患者の幸福度が向上するという結果が得られた。さらには、うつではない人に試しても、同じように幸福度が上がったという。

◇幸せの4つの因子を伸ばす

 次に、幸せの4つの因子を向上させるためのエクササイズを紹介する。

 第一因子の「やってみよう!」因子を高めるには、「自分の夢・目標」や「強み」を3つ書き出すとよい。夢や目標について考えている時間は幸福感を生み出してくれる。また、強みを書き出すことは、強みを自覚し、日常的に活かすことを促す。

 第二因子の「ありがとう!」因子を向上させるには、感謝のエクササイズが有効である。まず、感謝の気持ちを人に伝える。面と向かって伝えるのが苦手であれば、手紙を書いてもよい。感謝の内容は、人や出来事についてだけでなく、いつも使っている道具や自分の身体に対してでもいい。毎日続けると、感謝の念が強まり、周囲への感受性が高まって幸福感が得られる。