セブン銀行、カーブス、スタディサプリの
最初から低コスト構造をつくる発想

 まず「コスト優位」について考えよう。

「売上-費用=利益」という式からも明らかなように、利益を生み続けるビジネスモデルを実現するためには、費用(コスト)が安いことが求められる。日本企業において、既存のコストを減らしていく「コストダウン」の手法は、これまでも十分学習されてきており、お家芸でもあった。しかしビジネスモデルの構築においては、「コストを減らす」のではなく、最初から「コストを安くつくり込む」ことが重要である。

 たとえばセブン銀行では、外部からは見えないATMへの紙幣補給のコストを、事業開始時から安くする仕組みがあり、開業3年目で単年度黒字になった。その仕組みとは、飲食店などの売上を、専用カードを使ってATMに入金する「売上金入金サービス」である。

 入金された現金は、企業ごとに即座に1つの口座にまとめられ、本部・本社は一括で資金管理ができる。この紙幣がATMに入ることにより、警備保障会社は月1回しか紙幣補給に来なくて済む。“紙幣の補給を顧客が行う”仕組みが、低コスト構造を作り上げた(他にも、硬貨なし、通帳なしの特注ATMを、徹底的に低コストで新たに設計した)。

 カーブスでは、スポーツクラブにつきもののプール、シャワーなどの水回りを廃止したことによって、事務所仕様の物件でも開業できるようになり、店舗コストを大幅に下げた。

 また入会の販促活動に関しては、大量の広告を打たなくても、主婦間での口コミが多く、先に入会した知人が健康維持への“ロールモデル”となり、継続へのインセンティブにもなっている。

 リクルートのオンライン教育ツール「スタディサプリ」では、校舎と講師を固定費として抱えないコスト構造であるため、ユーザーが何科目受講しても月額980円という驚異的な価格づけが可能となった。この価格は原価からでもなく、教材の価値からでもなく、「スマホのアプリは1000円以内が多い」ということから設定された価格であった。

シェアリングエコノミーに見る
自社の資産を持たない強み

 自社の資産を持たないことは、低コスト構造の実現に有効な方法である。シェアリングエコノミーがこの典型例であり、米国のウーバー、エアビーアンドビーや、日本でも空いている駐車場をシェアする「アキッパ」などが挙げられる。