超ハイテク時代を生き抜く
子どもたちのために

 多くの人が指摘するように、今後のAI時代では数多くの仕事がなくなる。すでにその動きは始まっている。メガバンクや生命保険企業などではすでに大量のリストラが始まっている。今後は内科医や弁護士や会計士のような高度な専門職でさえ、職を失うだろう。そんな時代に最後まで残る職業は2種類ある、と僕は考える。

 ひとつは、「人間が人間に対して癒やしを提供するサービス業」だ。マッサージ師やエステシャンをはじめ、場合によってはキャバ嬢とかホストも含まれる。もちろん、マッサージやエステにおいてはそのための高機能なロボットが開発されるだろうし、キャバ嬢やホストにおいても高性能なコミュニケーションロボットを使えば似たようなサービスは提供できるようになるかもしれない。しかし、そんな時代が来ても、人間が人間のサービスを求めるニーズはそう簡単にはなくならない。むしろ、インターネットの時代にライブが求められ、ロックフェスなどのライブイベントが興隆したように、人的サービス産業はAI時代にかえって成長する可能性がある。

 そしてもうひとつは、「オリジナルを生み出せるクリエイティブな産業」だ。産業というよりは「人材」と言ったほうがいいかもしれない。たとえば、アカデミックな基礎研究の研究者に加えて、先端科学を活用して新しい製品、サービス、プラットフォームなどを生み出せる人材だ。

 これら2つの職業要件を考えると、今後の子どもたちの教育にも「対人間のコミュニケーション能力を育む」ことと、「高度な技術力を持って新しい価値を生み出す」こと、これらの能力を育むことが求められる。とくに高偏差値校やSSHに求められるのは、後者の能力を高めた高度なクリエイティブ人材だ。多くの人が60歳まで働くとすれば、いまの中高校生は40年後もまだ仕事していることになる。つまり、この先40年を生き抜く力を育む義務と責任が、中学校・高校にはある。とくに、トップ校やSSHの責務は大きい。トップ校やSSHは、世間の最先端を走る必要があるのだ。にもかかわらず、20年以上前の文化をいまだに引きずっているようでは、この先40年を生き抜く力など教育できるはずもない。

 40年前といえば、世の中にはインターネットはおろか、携帯電話もなく、多くの人の自宅にはFAXもなく留守番電話もなかった。Appleも法人化したばかり、日本ではワープロの1号機が発売されたばかり、そんな時代だった。それが40年経って、いまや小学生でもスマホをいじっている時代になった。いまのスマホは40年前のオフィスコンピュータとは比べものにならないくらい性能が高い。AIは絵を描いたり作曲したりするだけでなく、医師国家試験にも合格できるようになった。バク宙できるロボットも登場した。そしてあと数年で、自動運転も実用化されるだろう。イーロン・マスクは、2024年に火星への有人飛行を実現させると発表している。またイーロン・マスクは、ロケットを利用した地球旅行の構想も発表している。地球上のどこでも30分から1時間以内で移動可能となり、東京-NY間でも37分で移動できるようになる。いまの子どもたちは、そのような超ハイテクの時代を生き抜かなければならないのだ。

 しかし残念ながら、学校現場の現実は違う。「外部からの問い合わせは電話でしか受け付けません」といった閉鎖的で時代遅れな文化のままでは、未来を切り拓く人材育成など夢のまた夢だろう。子どもや若者を教育する立場の人間は、自分たちこそが時代に先端を走るべきだという強い信念を持つべきだ。いつの時代も、優れた教育者とは「時代のフロント・ランナー」だったのだから。

(ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表 竹井善昭)