面接官が“前のめり”になる企業研究
自分の「体験」が裏付けになる

 まず一つ目の「企業研究の方法と相手に響くストーリー作り」ですが、企業研究は採用面接を突破するためには絶対に必要なアクションです。会社名を間違えるなんていうのは問題外として、自分が希望している部署や職種などをある程度下調べしておくのは、自分のキャリアを作る上では当然のことです。ただ、通り一遍の調査だけでは、他の候補者たちから一歩抜きんでることはできません。

 例えば、HPに書いてある内容や各種Webメディアのコンテンツ、雑誌や新聞の記事などは誰でも入手できるので、それらの内容を知ってたとしても「あぁ、調べたんだな」という程度の印象で終わりです。

 ましてや「御社の製品は先進的で素晴らしいと思います」では、まるで営業マンが「アイスブレイクのためにとりあえず話してみました」という程度の印象しか残らないかもしれません。

 では、どんな話をすれば面接官の心の琴線に触れることができるのでしょうか。

 私は、「相手が自分の会社の製品に対して、どのような体験を持っているのか」という点に着目します。ユーザーとして使っているというのも一つの「体験」です。

 学生であれば、企業人としての体験を語るのは難しいですが、学生視点での「ユーザー体験」を語ることはできます。例えば、私が勤務しているマイクロソフトという会社を例にとるならば、以下のような感じです。

「普段から御社のWindows10の搭載されたパソコンを愛用していて、大学の講義の際には常に持ち歩き、講義中も取り出して使っています」

 さらに、

「起動も早くインターフェースもわかりやすいので、ずっと使いたいと思っています」とポジティブな感想を述べれば、悪い印象を持つことはありません。でも、これではちょっと物足りないのも事実です。もう一歩進んでもいいでしょう。

「ただ、私の周りはAppleユーザーが多くて、ほとんどの人がMacBookを使ってます。また、iPhoneユーザーも多いですね」

「なぜみんなMacを買うのか、気になったので聞いてみたのですが、『Windowsマシンは種類が多くて選びにくい』とか、『学校の購買で売っていたのがMacだから』とか、『インターン先のベンチャー企業で勧められたから』という答えが返ってきました」

「逆にこれは成長領域なのではないか、と私は思ったので、もう少し深くリサーチして『学生の間でWindows10がもっとメジャーになるためのアイディア』を考えてみました」

 こんな話をされたら、私はかなり前のめりになります。この会社に入るために、自分の時間を投資し、かつ自分の頭で考えるというプロセスも経ているので、非常に好印象です。また、企業としては常に知りたいと思っている「ユーザーサイドの視点」というのを問題点と合わせて示してもらえるのは、とにかくありがたい話です。