「お腹の風邪」「急性胃腸炎」
「ノロウイルス」…実は同じ病気
「おかぁたん、きもちわるいよ」
12月初旬のある日。保育園から戻るなり、4歳の娘が真っ青な顔をして訴えた。園を出るときにはご機嫌だったのに、いったいどうしたというのだろう。
「どうしちゃったんだろうねぇ。お熱があるのかな」
おでこに手を当ててみるが、《熱くはない》と思った瞬間、娘はぶしゃっと噴水のように勢いよく嘔吐した。母親K子さんの顔や服にもかかったが、気にしている場合ではない。娘はさらに、ごぼっとごぼっと吐き続けている。苦しいのだろうか、ポロポロと涙がこぼれている。
「大変、すぐ病院に行こう」
かかりつけの小児科の診療時間は午後7時まで。まだ間に合う。K子さんは手早く自分と娘の着替えを済ませると、娘をバスタオルでくるんで抱きかかえ、クリニックに駆け込んだ。
「お腹の風邪ですね。この後、下痢もするかもしれませんが、特にお薬はないので、水分をこまめに補給して、安静にしてあげてください。吐き気と下痢が治まったら、普通にいつもの食事を与えても大丈夫ですよ。明日ぐらいには回復するでしょう。でも、保育園はお休みさせないとだめでしょうね」
一通りの診察を済ませると、医師は優しく、気の毒そうに言った。重い病気ではなさそうなのでホッとしたが、保育園を休ませないといけないなんて…。K子さんは大急ぎ、契約している病児保育サービスに連絡を入れ、預け先を確保した。