世界に名高いラグジュアリーグループである「ケリング(Kering)」は、コーポレートナイツ社の2018年版 「Global 100」において、「世界で最もサステナブルなテキスタイル、アパレルおよびラグジュアリー企業」に3年連続で認定された。
これは、2018年1月23日にスイス・ダボスで開催された「世界経済フォーラム」で発表されたもの。2017年10月1日の時点で時価総額が20億米ドルを越える世界の企業7425社を対象に、それぞれの産業部門で17項目の定性的重要業績評価指標に基づいて選出している。同社にとっては、自社業界内で1位、総合部門で47位のランクインとなる。
同社は、2017年1月に打ち出した「2025年ターゲット目標」によると、今後10年の戦略として、”Care(配慮)”“Collaborate(協業)”“Create(創造)”をテーマに掲げている。
”Care(配慮)”は、環境への負荷軽減や天然資源への配慮を示す。環境損益計算書(EP&L)手法の対象範囲を製品の使用段階および使用済み製品にまで拡大し、2025年までに環境損益計算書の40%を抑制することを狙う。
グループ内のブランドはそれぞれのイニシアチブでこの課題に取り組んでいる。例えば「グッチ(GUCCI)」は、製品および広告に動物(ミンク、フォックス、ラビット、カラクール、ラクーン、カンガルー)の毛皮の使用を中止。
「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」はレザーや毛皮などの動物性素材を使用しないことで知られるが、アイウェアについても50%以上が土に還るという素材を採用している。
また同社は、原材料と供給国の構成に基づいて製品による環境負荷を算出・比較できるモバイルアプリケーション「My EP&L」も発表している。これはパーソンズ美術大学やロンドン・カレッジ・オブ・ファッションなど、未来のデザイナーを生み出す教育機関でも導入されているという。
“Collaborate(協業)”の観点では、ラグジュアリー業界のクラフトマンシップの保護、雇用における男女間の平等と多様性などにフォーカス。そして、“Create(創造)”の側面では、スタートアップ企業を支援し、教育機関と提携することで、革新的でサステナブルな素材を模索する。こうして生まれた新素材はグループ内のマテリアル・ラボが保管し、各ブランドが自由にアクセスできるようになっている。
同社のチーフ・サステナビリティ・オフィサー兼国際機関渉外担当責任者、マリー=クレール・ダヴーによると、この戦略の根底には“サステナビリティ=スマートなビジネス”という価値観がある、と話す。
サステナブルという目標に向かって進むということはすなわち、マーケティングの側面で商品に付加価値を与えるというだけではなく、様々な側面で新たなビジネスを生み出す革新を引き起こすというのだ。
会長兼CEOであるフランソワ=アンリ・ピノーは、「ラグジュアリーとサステナビリティは同一である」というメッセージを発信している。サステナブルだからこそ、革新と創造、利益が生まれる。これからのビジネスのあり方として正しいのかもしれない。