月56個だった商品が134個に

 これも試しに商品説明が目立つデザインに変更したところ、反応がガラリと変わりました。それまで販売数が1ヵ月で56個だった商品が、翌月には134個売れた。サロンにやってくるお客様は、安さよりもきれいになることに関心がある。高松社長はそのことがわかっていなかった。

月間指名客数が3485人から3734人へ

 高松社長の「はず」はもうひとつあります。
 まつげエクステは、ワゴンに載せた道具で行います。
 ひとつのサロンには7~8個のワゴンがあって、道具の置き方はそれぞれスタッフに任せていた。

 使いやすい置き方はひとりひとり異なるので、本人に任せることがサービスレベルの向上につながるはずと考えていた。

 しかし、整理整頓を軸とした環境整備をやって、それが間違っていたことが判明しました。

 すべてのワゴンで道具の置き方を統一したところ、急に指名客数が増えた。

「いままではスタッフが自分専用のワゴンを使うため、指名いただいたお客様のところにいちいち自分のワゴンを移動させる必要がありました。
 しかし、統一後は移動にかかる時間がなくなり、お客様をすぐご案内できるように。また、どのワゴンも同じ配置で、道具が見つからなくてお客様をお待たせすることもなくなりました。
 スタッフは施術と接客に集中できて、お客様満足度が高まりました。
 ある店舗では、月間の指名客数が3485人から3734人と107%に。自分がいかに想像だけで経営をしていたのか、思い知らされました」(高松社長)

 かつての高松社長のように、勝手に思い込みだけで経営している社長は少なくありません。

 時には思い込みが正しいこともあるでしょう。
 しかし、思い込みが外れたら、本来なら増えたはずの売上や利益を逃してしまう。
 高松社長は途中で気づき、事なきを得ましたが、下手をすれば販売ロスを延々と続けていた可能性があった。
 じつに恐ろしいことです。

 ぜひ、第1回連載にある、【あなたの会社の危険度ワースト「15の死角」】をチェックしながら、『数字は人格』をカラダ中の細胞に植えつけていただけたらと思います。