高評価の解答例
インターネットで物事を調べる最大のメリットは、瞬時に世界中から情報を集められることだ。私は以前、学校の自由研究で「桜」について調べたことがある。ネット検索すれば、その場で「バラ科、代表的な品種はソメイヨシノ」といった基本的な情報から、世界的な分布、各地の桜の名所の画像、桜をテーマにした学術論文、文学作品、歌謡曲に至るまで驚くほど多くの情報を得られた。一方で、これらの情報は、全て第三者の手によるもので、不確かな情報や誤情報が含まれている可能性がある。また、すべて文字や画像情報であり、自分が直接確かめられないこともデメリットだ。
実際に現物を見て調べることについては、何と言っても自分が直接見て、触って確認できるというメリットがある。私は桜の木の実物を調べ、触れると樹皮が固い事や表面がざらついていること、花にはほとんど匂いがないこと、樹液を求めて虫が集まってくることなどを直接知った。このようにパソコンの画面からはわからないことがたくさんある。ただし、私一人が直接体験できることには限りがある。世界中の全ての桜の木に触れることは不可能だし、私が直接調べたのはごく一部の桜でしかない。この、情報に触れる絶対量の限界は、実物に当たって調べることのデメリットだ。
このことから、物事を調べるときには、インターネットを使うことと実物を見ること、それぞれの良さと限界を知って上手く組み合わせることが大事だと言える。私は社会学専攻を希望しているが、過去の論文や新聞記事、統計などを検索する際にインターネットは大いに活用できる。一方、そこに書いてあることを鵜呑みにせず、直接自分で現地に出向き調べることを実践したい。たとえば高齢者福祉の現状について調べたいなら、検索した記事や統計だけを頼りにするのではなく、実際に高齢者施設を訪問して、利用者や職員の人に話を聞く、駅や病院のバリアフリーの状況を調べる、といったことだ。両方のメリット、デメリットを良く考え、効果的に組み合わせながら研究に取り組んでいきたい。
(以上)
「問題文に正しく答えられていない答案」は、公務員試験、教員採用試験、大学入試、昇進試験、あらゆる小論文試験の半分以上の答案で頻発する最も重大なミスです。また、連載第1回で紹介した「ワースト第2位」以下のミスの中でも、何度も関わってくるポイントです。
次のページで、本記事で紹介したことをおさらいするために、何を聞かれているのかを整理する練習問題を3つ掲載します。