ユーロ安が続いている。1月16日には対ドルで2001年8月以来、対円で1999年11月以来の安値を付けた。今回はユーロの先行きについて考えてみる。
ユーロ安の背景は、(1)欧州債務問題、(2)欧州中央銀行(ECB)の資金供給の二つだ。
前者については、足元悲観論が後退しつつあるものの、楽観論にはまだ早い。スペイン・イタリアなどの国債発行は無難に進んでいるが、ECBによる3年物の資金供給オペ(以下、3年物オペ)が功を奏したものであり、市場の信頼を回復したとは言いがたい。スペイン・ギリシャなどの財政再建に遅れが見られるが、そうした点が嫌気されてこれらの国の国債が再度売られる場面はありそうだ。
後者だが、昨年半ばまで1.8兆~2兆ユーロで安定していたECBのバランスシートは、年末には2.7兆ユーロまで急拡大した。これは資金調達難に苦しむ銀行がECBからの借り入れを増やした結果であり、特に12月は3年物オペの実施により単月で3161億ユーロ拡大した。2度にわたって政策金利が引き下げられたこともあり、昨年10月以降のユーロ安はECBの行動による部分が大きいと考えている。
当社ではあと1回の利下げを見込んでいること、また2月29日には2回目の3年物オペが予定されていることから、こちらも引き続きユーロ安要因と見ている。ただし、銀行はすでにかなりの資金を確保したと思われることから、影響は前ほど大きくならないと考えている。