2月5日、就任宣誓式に臨んだジェローム・パウエル新FRB議長だが、株価暴落に見舞われる波乱の船出となった Photo:AP/アフロ

 米国で2月2日に発表された1月の平均時給は、前年同月比2.9%と高い伸び率を示した。通常、賃金が上昇することについて株式市場は好材料と受け止めるわけだが、今回は違った。

 賃金急上昇→インフレ懸念の台頭→米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース加速→「適温経済継続シナリオ」の崩壊、という連想から、世界的に株価は暴落。2月6日にダウ工業株30種平均はひとまず下げ止まったが、この間、システムトレードの激しい動きも市場の混乱を増長させた。

 2月5日に就任宣誓式を行ったジェローム・パウエル新FRB議長にとっては、波乱の滑り出しとなった。ただ、株式市場の調整は遠からずやって来ると、FRB首脳らは覚悟していたと思われる。

 また、株価暴落が止まらず、これまで過熱してきた世界の不動産や資源などの市場に混乱が飛び火すれば話は別だが、2008年の世界金融危機以降、米国の金融監督当局は銀行や証券会社にリスク管理を徹底的に強化するようギリギリと締め上げてきた。リーマンショック以前のように、現在の米国において、レバレッジを拡大させている銀行はないとFRBはみてきたので、今回の株価調整は金融システム危機にはつながらないと受け止めているだろう。

 また、現時点でのFRB首脳は、株式市場が警戒しているほどタカ派になっていない可能性が高い。1月の平均時給のデータは悪天候でゆがめられ、実際以上に強めに表れた面があるからである。