あなたが登山隊長だとして
極限状況でどう判断するか?

著者・中尾政之氏の新刊が発売中

 ここで重要なポイントを記しておくと、「判断」とは他の誰でもない、リーダーのみに与えられた職務であるということだ。すなわち、会社なら社長、部なら部長、課なら課長、チームならリーダーでなければできない特権事項なのだ。

 たとえば、あなたがチョモランマ(エベレスト)登山隊の隊長だとしよう。頂上はすぐそこに見えている。ところが、さきほどまで快晴だった天候がどんどん怪しくなってきた。下手をすると大荒れになるかもしれない。

 さて、この極限状況に追い込まれたらあなたはどう判断するだろうか?

(1)せっかくここまで来た。もう二度と挑戦できない。イチかバチかやってみよう。

(2)残念だがここで下山する。無念だけれども、皆、いいな?

(3)途中まで下山して、天候次第で再アタックしよう。

 (1)の判断は人命を軽く考えすぎではないか。「ここまで来たからには」と誰もが思う。名誉欲もある。死んでも悔いなしと盛り上がるかもしれない。だが、こういうムードがチームに蔓延しているときこそリーダーは冷静に判断しなければならない。

 しかも、「あのとき、相談したら君がこういった」などと責任転嫁はできない。リーダーはひとりで決めて、ひとりで責任を負わなければならないのである。

 (3)のような中途半端な態度ではどちらも達成できない。下山も命がけなのである。

 ここは(2)の選択こそリーダーの判断である。優先順位の筆頭はなにか。登頂することか、それとも全員無事に帰還させることか。どちらを優先すべきなのか?

 登頂し、さらに無事に帰還できればベストだが、そんな希望的観測に振り回されていたら遭難してしまう。ここは最悪の事態を想定して現実的に判断すべきだ。

 すなわち、ベストが無理ならばセカンドベストを追求すべきではないか。では、セカンドベストはどちらなのか?