車での避難が渋滞を巻き起こし、死者を増やすということで、2012年3月以前は、「避難のために車を使用しないこと。」となっていました。しかし現在は、交通量が少なく車に頼っている地域もあるし、何より車でなければ移動できない方もいるので「津波から避難するためやむを得ない場合を除き、避難のために車を使用しないこと。」と、車に関する避難については議論され、例外も認めるよう変化してきました。

出典:国土交通省「津波避難の基本的考え方」 http://www.cbr.mlit.go.jp/mie/enquete/sub.html
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 でも、車以外はあまり語られていなくて、「避難にあたっては徒歩によることを原則にすること」とあります。「自転車はいけない」とまでは書いてないですが、原則として徒歩とされているし、自転車についての議論もされてこなかったので、通学で自転車を使っている、もしくは津波の心配のある地域の中高生の避難訓練であっても、自転車は使われていません。

 東日本大震災の時、私は千代田区にいたので、自転車ショップに列をなして購入する方をたくさん見ました。それ以外あまり語られることが少なかった自転車での避難なのですが、ここに来て東京都からこんなニュースが飛び込みました。

東京消防庁移転へ災害対応強化費3倍増 都来年度予算、都民提案事業は自転車整備支援
http://www.risktaisaku.com/articles/-/4640
災害対応力の強化では、都民提案事業として自転車整備支援事業で1億円を計上する。災害時の移動手段として重要な自転車の点検・整備の推進や、安全利用の普及・啓発を行う。

 この「災害時の移動手段として重要な自転車」というキーワードに、自転車好きとしては、やっと日の目を見た思いがしました。ただ、まだ津波での避難ということでは、自転車の話題は少ないのかなという思いです。ところで、実際に全国で自転車を通勤や通学に使っている人はどれくらいいるかというと、バイクと自転車が一緒に計上されている国勢調査の数値なので、自転車だけではないのですが、15歳以上の方で、「オートバイ又は自転車」は14.6%。自家用車は46.5%に対し、徒歩は7.1%でしかありません。徒歩は少ないですね!

出典:総務省統計局「国勢調査利用交通手段」(※10年ごとの調査なので、2010年が最新)
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/final/pdf/01-11_5.pdf
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 中高生でどれくらいのこどもたちが自転車通学をしているか調査した資料も最新のものは見つけられなかったのですが、2009年にベネッセが実施した調査では、「高校生の半数が自転車通学をしている」と書かれてあります。

■「自転車通学の平均は約20分、マナーには問題アリ?(ベネッセ教育情報サイト)
http://benesse.jp/kyouiku/200907/20090709-1.html

 その時よりもさらに、地方のバスの便が減っていたり、少子化による統廃合で学校が遠くなったという声もお聞きしますので、自転車通学の割合は増えているかもしれません。災害時、特別なことは出来ないものです。いつも使っている自転車で津波から避難することができた方が現実的です。自転車を使って避難訓練を実施し検証してみる地域がでてきてもよいかもしれません。