「銃に対する規制は州によって異なるのですが、カリフォルニア州では(銃砲店で購入する場合は)比較的厳しい身元照会が行われています。一番の問題は全米の各自治体で選挙によって選ばれる人々、保安官から議員まで様々ですが、そういった人たちへ献金や組織票という形でNRAが圧力をかけていることなのです。銃規制を徹底的にやろうとすれば、非常に大きな覚悟が必要です。また、規制強化は国レベルで行わなければ意味がありません。ある州で銃の購入が全面禁止になったとしても、他州から何の問題もなく銃の持ち込みが可能ですから」

戦死者よりも多くの人命を奪った「国内の銃」
コロンバイン事件はついにワースト10圏外へ

 アメリカにおける銃問題を象徴するような、ショッキングなデータがある。タンパベイ・タイムズ紙(フロリダ州)が運営するファクトチェック機関「ポリティファクト」は昨年10月にラスベガスで発生した無差別乱射事件後、1968年以降にアメリカ国内で銃によって命を落とした人の数が、アメリカのこれまでの戦争における戦死者の総数を上回ったと発表している。

 独立戦争からイラクやアフガニスタンでの戦争まで、この240年間で推定140万人のアメリカ人が戦場で命を落としている(南北戦争の戦死者数については諸説あり、歴史家の間でも最大で20万人の差が存在するが、ポリティファクトは最も多い戦死者数をデータとして使っている)。一方、銃関連の死者数が全国レベルでデータとしてきちんと記録され始めた1968年からの統計に目を向けてみると、その数はすでに150万人を突破している。

 銃によって命を落とした150万人の大半は自殺者で、銃によって殺害された人の割合は全体の3分の1程度になるが、それでも約50年の間に50万人以上が銃で殺されている計算になる。しかも80年代からは無差別銃撃で命を落とす人の数が激増。その傾向はより強くなっている。

 アメリカ史上最も多くの犠牲者を出した無差別銃撃事件ワースト10のうち、半数以上は21世紀に入ってから発生しており、マイケル・ムーア監督のドキュメンタリーのテーマにもなったコロンバイン高校事件(容疑者を含めた15人が死亡)は、14日のフロリダの銃撃事件によって、ついにワースト10から外れている。

 アメリカではクリントン政権時の1994年、殺傷力の高いいわゆる「アサルトウェポン」の民生品を製造することを禁じた法律が施行されたが、10年後の2004年に同法は失効。代替案もこれまで何度も議論されてきたものの、殺傷力が高い銃器の製造や販売を規制する法律は事実上ないに等しい。

 しかし、殺傷力の高いアサルトライフルに加えて、市販の銃を連射可能にしてしまう「バンプストック」のような装置の販売規制を求める市民の声は日増しに高まっている。トランプ大統領は20日、バンプストックに代表される改造装置の販売禁止に向けて司法省に指示を出したと語ったが、すでに多くの改造装置が販売されている。