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直近決算の営業利益予想が昨年比2倍増&上方修正!
石川祝男社長に聞くバンダイナムコHDの強さの理由

石島照代 [ジャーナリスト]
【第26回】 2012年2月20日
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石島:たとえば、ガンダム事業部や太鼓の達人事業部、鉄拳事業部という感じで、IPの数だけ事業部があるイメージでしょうか。

石川:そうです。IP別で事業計画を組めば、アウトプットは自由自在ですよね。家庭用、アーケード、SNS系などの事業部間の不毛なケンカもなくなる一方、家庭用を出した後のアーケードはじゃあこうしようとか、考えられるようになる。つまり長い目でIPの価値をいかに最大化するかを考える。たとえ、年度年度で見たら売り上げが下がったとなっても、長期計画で「ガンダム エクストリーム バーサス」の売上を立てることができる。そして、それは結果的に売上を向上させることになります。これが、IP軸と市場軸の事業部制の違いです。

SNS系ゲームの強さの秘訣は、
ケータイ版24時間営業のゲームセンターだから?

石島: 話をまとめますと、バンダイナムコHDの強さは、川上(仮面ライダーのような息の長い人気IPの育成)から川下(出口戦略)までの一気通貫型ビジネスモデルを、IPを軸にした事業部が支えていることになりますか。

 ただ、一般論として企業規模がある程度超えてくると、新事業ですぐ成果を出すことは難しい。バンダイナムコがあまりタイムラグを発生させずに、SNS系ゲームビジネスでも利益を確保できたのはなぜでしょう。

石川:やっぱり、ライフサイクル別出口(家庭用、業務用、SNS系)とそれぞれ用意してきたことが大きいと思います。弊社の人気筐体に「機動戦士ガンダム 戦場の絆」というものがありますが、2006年の稼働開始から今でもなお、継続して運営し続けていることが実はSNS系ゲーム事業でも生きている。どのタイミングで新たな要素を追加して盛り上げていくかっていうのは、SNS系ゲームの課金ポイントと同じなのではないかと考えています。

石島:アーケードとSNS系ゲームの類似は、他社の幹部も同じことを言っていました。なので、SNS系ゲーム事業のためにアーケード経験者を多めに雇ったそうです。

 そして、アーケードとSNS系はライフスタイルは違いますが、ユーザーのお金の払い方は似ている気がします。ユーザーは気が済むまで払い続けるという特徴があるというか。だからふたつとも、結果的に経済学で言うところの価格差別戦略を採用できる。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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