日銀は2月14日の金融政策決定会合で、資産買入等基金による国債の買い入れ枠を10兆円拡大し、同時に従来の「中長期的な物価安定の理解」の名称を「中長期的な物価安定の目途」に変更した。

 最近の日銀は、日本経済および世界経済は緩やかながらも改善傾向にあると説明していた。また、白川方明総裁は日銀の「物価安定の理解」はFRBに参考にされたほどの優れた枠組みだと誇っていたため、その決定には唐突感があった。

 その背景には、会合前週の参議院、衆議院の予算委員会で白川総裁が円高、デフレに対して無策だと激しくたたかれたことが影響していたようだ。白川総裁が答弁しようとすると、大勢の議員からすさまじい怒号と野次が発せられ、委員会室は連日騒然とした空気に包まれていた。FRBに比べて、日銀は消極的過ぎるという批判が大勢を占めていた。

 日銀は今回の国債買い入れ増額によって、経済が上向き、あるいは横ばいのときであっても緩和策を拡大していくという姿勢を市場に事実上示したことになる。