政策に翻弄される住民たち
地域によりストレス源にも違い

──福島の避難者のPTSDの数値はどのように変化してきましたか。

 15年のデータでは、避難区域毎にストレス度を比較してみると、15年のデータでは、帰還困難区域の人と、いわゆる自主避難の人の数値が高かったんです16年は避難指示解除準備区域だけが上がり、17年はすべての区域が上昇し、区域による差がなくなりました。17年は避難指示が軒並み解除され、避難指示が解除された人は帰還を迫られ、解除されなかった人は移住を迫られたわけなので、軒並み上がったのではないかと考えています。

 こうした数字は、政策決定によって、避難者の生活と人生そのものが“蹂躙”されているということを感じさせます。

──東日本大震災は、福島以外にも被災者を出しており、その中でPTSDを発症する人がいます。福島の避難者と、その他の地域の方ではPTSDに違いはありますか。

 PTSDのもととなるストレスの関連要因を示す私達のデータがあります。共通する要因として、体調や、住宅問題、経済問題、ソーシャルサポート(相談者の有無)、といった身体・心理・社会・経済的要因が関係します。

 震災被災者のデータを統計分析すると、ストレス要因のひとつとして「避難先での嫌な経験」があることが見えてきます。地域の人との関わりの中で、自分自身が避難者であることによって、いやな経験をしたことがありますか」という質問をしたところ、「よくある・少しある」人の割合を合計すると、福島で45%、宮城・岩手は22%と、明らかに違ったです。

 さらに、「避難してきていることを避難先の周囲の人に話すことに抵抗があるか」と聞いたところ、福島では「抵抗がある」は47%。同じ時期の調査で宮城・岩手では16%足らずでした。

 こうしたデータを見ると、原発事故の避難者は、地震や津波の避難者と違う境遇だということがよく分かります。