だが、量はせいぜい缶ビールか缶酎ハイ1~2本ぐらいで、酔っぱらうことはない。肴は旬の野菜や豆腐料理などを選び、健康にも気を使っている。それなのに、どうして脂肪肝になったのか。納得がいかなかった。

脂肪肝は一人当たり
400g以上の脂が…

 脂肪肝とは、余分な糖質や脂質が中性脂肪となって肝臓にたまり、フォアグラのようになっていること。

 医学的には肝臓内の肝細胞の30%以上を脂肪が占める状態をいう。肝臓の重さは成人男性で約1.5kg、女性で約1.3kgあり、体重の約50分の1を占めている。ということは、脂肪肝を取りだして絞ると、だいたい400g以上の脂が摂れる計算だ。なかなかの量である。

 一般的には、太鼓腹の中高年男性が「ザ・脂肪肝」だと思われがちだが、実はスリムな人でも、女性でも、脂肪肝になる。いわゆる「隠れ肥満」の一種なのだ。なんと、わずか2~3kg(女性にとっては、決してわずかな数値ではないが)体重が増えただけでも肝臓に脂肪がたまっている可能性があるらしい。
 
 肝臓は再生能力・代償能力ともに優れ、ダメージを受けても残った細胞が働いて機能を維持する上に、痛みなどの症状が出ることはあまりないため、「沈黙の臓器」とも呼ばれる。異常が起きていても気づきにくく、気づいたときには病気がかなり進行している場合があるので注意が必要だ。

 かつては軽い病気と考えられてきたが、悪化させると、狭心症や心筋梗塞など心疾患のリスクが高まるだけでなく、全身でインスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」が生じ、高血糖や高インスリン血症になりやすくなる。さらに、肝硬変や肝臓がんへと進行する可能性もあり、侮れない。

 2016年に、日本人間ドック学会が発表した「全国集計結果」によると、人間ドック受診者のうち「肝機能異常」がある人は33.2%で、「高コレステロール」(33.4%)に続いて多かった。「肝機能異常」のある人の割合は、20年前と比較すると10.5ポイント上昇しており、男性の40.2%、女性の22.8%に見られるという。

「東京都でも近年、脂肪肝と診断される人が急増しており、今では成人男性の約10~15%、女性の約3~5%にのぼります」

 と警鐘を鳴らす専門医は少なくない。