衣服や生活雑貨などを販売する無印良品を運営する良品計画。成長を続ける同社だが、リーマンショックの影響により近年では減益の局面も。そこで物流にメスを入れ、海外優先出荷に踏み切った。

 良品計画は、日本の流通業界において、優等生の代表格だ。

 なにしろ、営業利益率は10%に迫り、2%台にとどまる百貨店業界の5倍ほどになる。また、自己資本比率も80%近く、百貨店業界の2倍程度を確保している。

 さらに、特徴的なのは海外戦略だ。国内店舗376に対して、海外店舗が151と、なかなか海外市場を開拓できない日本の流通企業のなかでは、珍しく海外の積極展開に成功している。売上高の水準を見ても、リーマンショックを挟んだ8期続けて増加傾向を維持している。

 好調に見える良品計画だが、利益に目を向けると、2008~10年度の3年連続で減少している(図(1))。売上高こそ伸び続けているが、利益面では「リーマンショックの影響を避けられなかった」(良品計画関係者)。

 特に、リーマンショックの影響で、不良在庫が増えてしまった。09年度の在庫の水準を見てみると、在庫の絶対量である棚卸資産の額、1平方メートル当たりの在庫高、共に大幅に増加していることがわかる(図(2))。

 経営陣のここからの動きは速かった。10年度を不良在庫大幅削減の年とし、さらに、抜本的な物流、在庫の管理体制の改革に手をつけたのだ。

 まず、リーマンショックで増加した不良在庫を10年8月末までになくすという目標を設定。実際に、10年度の在庫を見ると、09年度に比べ棚卸資産の絶対額はほとんど変わっておらず、1平方メートル当たりの在庫高は急減している。

 さらに、ただ在庫を減らすだけではなく、仕入れや在庫の管理、出荷体制にまで手をつけた。

「急に寒くなったりという気候変動に対応するために、季節に対応した衣服の仕入れを1ヵ月前倒しした」のだ。秋冬物は本来、9月に大量に入荷するが、11年度は8月に早めた。