自分の買い値を気にすると、リスクに対する態度が揺れてしまい、不適切な行動を取る可能性が高まりやすい。投資を、自分の買い値を介した「勝ち負け」で捉えないことが重要だ。

 厳密には、税金との関係で損益が関連してくる場合があるが、運用の意思決定にあっては、自分の買い値と比べた損益は余計な要素だ。

「そう言われても、やっぱり気になる」というのが、大多数の方の正直な感情ではあろうと思うが、その心理を敢えて突き放すことができると素晴らしい(プロの運用者としてスカウトしたいぐらいのものだ!)。

 この点を考えると、積立で投資を行うと、自分の買い値を計算することが面倒なので、買い値が気になりにくいという心理的なメリットがある。

リスクの大きさを再点検

 さて、積み立てで投資を行ったとしても、自分が既に買ってしまった「持っている資産」に関するリスクは減らない。

 株価の急落で、否応なく「リスク」を感じるようになったその時に、個人は、今、持っているリスク資産の投資額が、適切なのか否かを改めて点検してみることが必要だ。

 例えば、内外の株式に広く分散投資するような投資信託でリスクを取っている場合(筆者は、外国株式6割、国内株式4割の割合でインデックスファンドを保有する方法を勧めている)、まず「1年後に、現在のリスク資産保有額の3分の1を失っても大丈夫か?」と考え、次に「リスク資産は、1年後に平均5%くらい増えると期待できる」と考えて、適切なリスク資産保有額を決めるといい。

 個別の株式でリスクを取っている場合であれば、リスク資産保有額の3分の2くらいの損失は十分想定しなければならないし、数銘柄で上手に分散投資している場合でも、2分の1くらいの損のリスクは想定しなければならないだろう。分散投資は重要だ。

 リスクについての点検は、あくまでも「現状の資産価格」から出発して、損失の可能性とリターンの期待を考えることが重要だ。

「今年は、株価が10%下がった。1年に3分の1下がるのが最悪のケースなのだとすると、あと23%程度しか下がらないはずだ」という具合に考えてはいけない。「現状から3分の1下がっても大丈夫か?」と自問しなければならない。