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奪われるプライバシー

一度公開したら消せないと思え
スマホで変わるネット上の心得

週刊ダイヤモンド編集部
【第2回(最終回)】 2012年3月28日
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 さらに恐ろしいのは、ネット上にひとたび情報を公開してしまえばそれが収集され、サーバに保管されてしまって完全に削除できなくなってしまうことだ。

 もちろん投稿した画像を「削除」できる設定もあるが、多くは検索できないようにしたり、たどり着けないようにしたりしただけ。そのURLを直接打ち込めば、簡単にアクセスできてしまう。

 公開したデータは誰に利用されても仕方ない。東京都消費生活総合センターの金子俊一相談課長は、「リスクを負ってサービスを利用していることを認識すべきだ」と警鐘を鳴らす。

 手軽に世界とつながるスマホ。しかし使い方を間違えれば、あなたのプライバシーは奪われる。

Interview

個々のプライバシーに配慮した心地よさを 事業者自ら提案せよ
クロサカタツヤ(企代表取締役)

クロサカタツヤ/企(くわだて)代表取締役 1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院修了後、三菱総合研究所を経て2007年に独立。ITとプライバシー分野に詳しい。

 まず、プライバシーとは何ですかと聞かれて、皆が納得する説明ができる人は世界を見てもほとんどいません。国や文化によって、そのとらえ方が千差万別だからです。

 さらに、ITの発達とスマートフォンの普及により、個人の情報が簡単に取得されるようになりました。その結果、自分の個人データがどこにどのくらい蓄積され、誰が保管しているのかわからなくなったのです。

 かつてプライバシー権は「1人にしておいてもらう権利」と定義されましたが、EUでは、一定期間後のデータ削除を事業者に課す「忘れられる権利」を創設しようとしているなど、現在、定義の見直しが行われています。

 もっとも、日本にはプライバシーの規定はいっさいありません。法律にはその文言がないのです。

 確かに個人情報保護法はありますが、利用者の視点から見ればこの制度は脆弱と言わざるをえません。極端にいえば、氏名とそれに紐づく情報さえ保護すればよいとしているからです。事業者からするとプライバシーポリシーに書いておけばいくらでも情報が取れてしまうというわけです。

 そもそも、IT企業の強みはその技術を駆使して、利用者の姿を一人ひとり把握することにあります。

 マスを対象とせずに、個々が何を欲しているのかを分析してサービスに付加価値をつける。ビジネスの前提がそうやって個人を特定するところにあるため、踏み込んではいけない境目が見えなくなります。

 個人にかかわる情報を集め過ぎると「気持ち悪い」と言われ、気をつけている事業者もいますが、本当はのどから手が出るほど欲しいのです。

 このような状況ですから、利用者は身の回りの情報が漏れて「丸裸」にされていると思ったほうがよいでしょう。

 それに対して、事業者は、多数の利用者にとって心地よい「服装」を提案すべきです。それも積極的にやるほうが親切です。時と場所に応じた服装があるように、今ネットの社会でそれをどう実現するのかが、求められているのです。(談)

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週刊ダイヤモンド編集部


奪われるプライバシー

「週刊ダイヤモンド」2012年2月11日号・第2特集「奪われるプライバシー」より特別公開!
スマートフォンの急増により、便利なサービスが増える反面、個人を特定しかねない情報が漏れ、プライバシーが奪われている。その実態を知らなかったではすまされない時代になった。 本誌・小島健志

「奪われるプライバシー」

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