サウジアラビアは
AIの「ソフィア」に市民権!
そうした中、2017年10月に驚きのニュースが飛び込んできました。
それは、サウジアラビアが女性型AIの「ソフィア」に市民権を与えたのです。
サウジアラビアといえば、「人間の女性」ですらまだまだ人権が制限されているような国です。
個人的には、「AIに市民権を与える前にすることがあるのではないか」と思わないでもありませんが、一方で、「時代はここまで進んでいるのか」と愕然としました。
ただし、ここで注意しなければならないのは、確かにAI自身は無欲かもしれません。AIが金銭的な見返りを求めることもないでしょう。
しかし、たとえAIがディープラーニングで自己学習をするとはいえ、そのAIを開発し、ディープラーニングの元となる「教師データ」を与えているのはやはり人間なのです。
私個人は、すでにAIは「特定の分野」では人類を超えていると感じていますので、分野ごとにその道のエキスパートのAIが「政策提言」くらいはしてもいいのではないかと思っていました。
そして、その提言を人間が吟味すればいいと。
しかし、AIの背後には人間がいて、もしかしたら莫大なお金が渦巻いている可能性もあります。
その場合、「AIは不正とは無関係な完全無垢な存在」と言えるのか、最近では私は一抹の疑念を抱き始めています。
サウジアラビアがソフィアに市民権を与えた一件も、「裏で何かあるパフォーマンスではないのか」と勘ぐってしまう私はあまのじゃくなのでしょうか。
いずれにしても、政治家というのは「言葉が命」です。
「排除します」の一言で、国政選挙で大敗した党があることは、みなさんもまだご記憶でしょう。
そして、ただ1つ言えるのは、この「言葉が命」の分野にAIが進出する可能性はゼロではない。それくらい、今のAIの会話能力は秀でているということです。
個人的には、「政治は人間ではなくAIに任せろ!」というようなデモが起きない、日本はそんな国であって欲しいと願うばかりです。
前述のとおり、このソフィアの技術を支えているのは、「ディープラーニング」と呼ばれる自己学習の仕組みです。
そして、AIはディープラーニングをする「子どものAI」と、人が一から教えて丸暗記させる「大人のAI」に分かれます。すなわち、ソフィアは「子どものAI」ということになります。
同じAIといえども、両者でどれほどの違いが出るのかは、第1回連載の中で「子どものAI」であるGoogle翻訳と、「大人のAI」である別の翻訳サービス(X翻訳)に同じ英文を日本語に翻訳させて、まったく異なる結果になるケースを紹介していますので、そちらを併せてお読みいただけたら幸いです。