すると驚くべきことに、Zさんは「D大学院に在学しているので、勢いで大学名を間違えて記載してしまいました。正しくはE大学の商学部でした」と言い出したのです。面接結果はご想像の通りです。
しばらくして、B課長から事の顛末をお聞きしました。
「勢いで間違えるわけがないんですが、どうやら私立の中堅校であるE大学卒業では、見栄えがよくないと考えたようです。しかし、一流校のD大学院に入って、学歴ロンダリングはできているのに…。学生の心理はわからないものですね」
面接だけでは見破れない点を
SNSチェックでとのニーズ高まる
企業にとってみれば、採用人数を確保したい、良い人材を採りたいという以上に、いわゆる「モンスター社員」や「トンデモ人材」を採らないというリスク管理も非常に重要です。
中途採用の場合は、前職などのレファレンスチェックをすることで、ある程度スキルと評判を客観的に知ることができます。これに対して新卒採用の場合、指導教授からの推薦状をもらえればいいのですが、現実にはそこまでレファレンスチェックをしている企業はほとんどありません。
トクチョーには、新卒採用の失敗による社員に関する相談も寄せられます。多くの人事担当者様の話では、面接だけで見破ることはできないというのが、共通認識のようです。
総務省情報通信政策研究所の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によれば、FacebookやTwitterなどの主要なSNSのどれか一つ以上利用している人の割合は、過去5年間で41.4%から71.2%に増加しています。20代に限っては、97.7%とほぼ全ての人がSNSを利用しているという状況です。
面接だけでは分からない性格や日常もSNSを見れば分かることから、採用候補者のSNS利用をチェックするというニーズが生まれ、調査依頼は確実に増えています。
実名登録が原則のFacebookだけでなく、さまざまなSNSを実名で使う方は少なくありません。また、ニックネームしか表示していなくても「身バレ」といって、投稿者の住所・氏名だけでなく勤め先までネット上で暴露されているケースもあります。
勤め先の企業も「〇〇で炎上した人間を雇っていた××社」という風評が残り続けることもあるため、採用候補者が身バレするようなアカウントで、非常識な使い方をしていないか確認しているのです。
今日もトクチョーは企業からの依頼を受け、SNSをチェックしています。
(総合調査会社 トクチョー)
※この記事は事実を基にしていますが、登場する人物・団体・名称等は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。守秘義務のため、依頼者や調査対象者が特定できないように、事件の詳細は設定を変更しています。